英自動車販売大手インチケープ、チリ自動車販売大手デルコを買収

英国の独立系自動車販売大手インチケープ（Inchcape PLC）は7月28日、チリ自動車販売大手デルコ（Derco）を買収することで合意したと発表した。合意内容によると、インチケープがデルコの株式100％を買収し、デルコを所有しているデル・リオ一族がインチケープの株式9.3％を取得する。買収は、現金支払いと株式譲渡、デルコの債務支払いを含む複数の方法によって行われると発表されており、デルコの企業価値は15億7,000万ドルと見積もられている。

デルコは、チリの資産家一族であるデル・リオが経営する自動車販売企業で、チリ、コロンビア、ペルー、ボリビアの4カ国で事業を展開している。チリでは、スズキ、マツダ、ルノー、長城汽車、長安汽車などの販売代理店で、チリ全国自動車産業協会（ANAC）のデータによると、2022年上半期（1～6月）の新車販売台数では、同社が販売している自動車ブランドの販売シェアは国内市場の20％を超えている。

インチケープは英国を拠点とする独立系マルチブランドの自動車販売企業で、欧州、アジア、米州、アフリカなど40を超える国で事業を展開している。チリではスバル、BMW、ジャガー、ポルシェなどの販売代理店で、デルコ買収により、インチケープはチリ国内市場の販売シェアの約4分の1を獲得することになる。

買収は、2022年後半から2023年前半までに完了する予定となっており、インチケープはデルコ買収により米州でのプレゼンスを高め、同地域における事業拡大を図る。

（岡戸美澪）