最高裁、工業製品税(IPI)の税率軽減措置を部分的に一時差し止め

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年08月16日

ブラジル連邦最高裁判所(STF)は88日、政府が工業製品税(IPI)の税率を軽減した729日付政令11,158202284日記事参照)を、「違憲性があるもの」として、一部の内容を一時的に差し止めた。729日付政令11,158号では、約4,000品目を対象に税率改定を行い、工業製品税の税率を35%削減する旨を定めていた。ところが、マナウス・フリーゾーン(ZFM)内外でみた場合の税率差が縮まることが争点となった。差し止め内容は具体的に、ZFMでの税制恩典を享受するために必要な基礎製造工程(PPB)基準(詳細はジェトロウェブサイト参照)に沿って製造される品目については、IPI35%減税する政令11,158号の法的効力を停止するもの。

最高裁のアレッシャンドレ・ジ・モラエス判事は「ブラジル産業界が課題とする高コスト問題を解消するため、ブラジル憲法はマナウス・フリーゾーン(ZFM)に税制恩典を付与して特別に扱い、地域開発を行うモデルを定めているのであって、今回の政令11,158号は、この構造に影響を与えかねない」と説明した。

モラエス判事は、PPB基準に沿った製品がどの程度、政令11,158号が定めるIPI税率削減対象から事前に除外されていたかどうかに着目し、除外製品は合計528製品のうち61製品(11.5%)のみにとどまっていたと明らかにしている。結果的に、ZFMで生産されている残り数百に上る製品はZFM域外でも政令11,158号に基づきIPIが軽減されるため、ZFMで製造する際の価格競争力をそいでしまうと判事は指摘している。

(古木勇生)

(ブラジル)

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