英国、高成長企業向けのビザルートを新たに導入
(英国、日本)
ロンドン発
2022年08月26日
英国政府は8月22日、高成長企業向けのビザ「スケールアップビザ」の申請受け付けを開始した(概要は政府ガイダンス
参照)。同ビザは、英国のEU離脱(ブレグジット)後に行われた移民制度改革の一環で、2022年4月発表のグローバルビジネスモビリティビザ
(注1)と5月発表のハイポテンシャル・インディビジュアル(HPI)ビザ(2022年5月31日記事参照)に続く、3つ目の新たな取り組みだ。
スケールアップビザは、ビジネスが大きく成長中と認められた企業が、世界トップクラスの科学者やエンジニア、プログラマーなど高スキルの人材を容易かつ迅速に雇用することを可能にするもの。企業が同ビザのスポンサー(身元引受人)ライセンスを取得するための要件は、雇用者数または売上高が前年比20%以上の成長を3年以上達成し、かつ、その3年間の起算時点で10人以上の従業員を雇用していること。
ビザ申請に当たっては、特定の国籍者(注2)を除き、英語のレベルが欧州言語共通参照枠(CEFR)でB1レベル以上であることを証明する必要がある。ビザの有効期間は2年間で、所得条件などを満たせば延長申請も可能。ビザ取得者は、滞在開始から6カ月間はスポンサーとなる対象企業で勤務する必要がある一方、その後は同社での勤務を継続する必要はなく、転職なども可能となっている。5年の滞在後は、永住権の申請もできる。
ビザ申請数、発給数は減少傾向
英国政府の統計によると、2021年のビザ申請数は157万1,642件、ビザ発給数は131万1,371件となっており、統計掲載開始の2005年と比べるとそれぞれ38.4%減、36.5%減となっている。日本国籍者に限ると、2021年の申請数は7,379件、発給数は7,266件。発給数の主な内訳は、16歳以上の学生ビザ(Student visa)2,252件、企業内転勤ビザ(Intra-Company Transfer visa)1,839件、若者の移動に関する制度ビザ(Youth Mobility Scheme visa)1,506件、技能労働者ビザ(Skilled Worker visa)324件となっている(添付資料表参照)。日本国籍者による2021年のビザ全体の申請数は2005年比で50.3%減、発給数は50.6%減だ。新型コロナ禍前の2019年と比較しても、それぞれ19.1%減、19.4%減となっている。
(注1)英国定住者が行うことができない特定の目的のために、シニアマネジャーや専門職である労働者を英国に一時的に派遣する必要がある外国企業向けのビザルート。企業内転勤ビザなどに代わるものとして導入された。
(注2)アンティグア・バーブーダ、オーストラリア、バハマ、バルバドス、ベリーズ、カナダ、ドミニカ、グレナダ、ガイアナ、ジャマイカ、マルタ、ニュージーランド、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、トリニダード・トバゴ、米国。
(島村英莉)
(英国、日本)
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