英国、大学ランキング上位校の卒業生向けビザルート導入
(英国)
ロンドン発
2022年05月31日
英国政府は5月30日、世界の優秀な人材のためのビザ「ハイポテンシャル・インディビジュアル(HPI)ビザ」の申請受付を開始した(概要は政府ガイダンス参照)。同ビザは科学、工学、医学研究などの分野で世界トップレベルのスキルをもつ人材の受け入れを目指すもので、国際的に有名な大学の卒業生を対象としている。政府によれば、同ビザはEU離脱(ブレグジット)後に行われた移民制度改革の一環で、各人の持つスキルに応じて人々を受け入れるためのものとしている。
申請に当たっては、卒業時の世界ランキングに基づき指定された大学を過去5年以内に卒業していることが条件となっており、日本では東京大学と京都大学が対象となっている(リストは政府ガイダンス参照)。ビザの有効期間は原則2年間で、博士号取得者の場合は3年間となっている。延長は認められていないものの他の長期雇用ビザへの切り替えも可能となっている。
政府の3月3日更新の統計によれば、英国の2021年の外国人へのビザ発給数は約131万件。前年比では36%増となっている一方で新型コロナウイルス感染拡大前の2019年比では59%減となっている。就労ビザに限ると、配偶者も含めて約24万件が発給されており、前年比2.1倍、2019年比でも25%増となっている。2021年以降英国での就労にビザが必要となったEU・欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国(注)の国籍者への2021年の就労ビザの発給数は約3万人となっている。
リシ・スーナック財務相は、HPIビザの発給により英国が、世界中から優秀な人材を今後も引き付けることが可能になり、イノベーション、創造性などの国際的な主要拠点として成長することになると述べている。
また、政府は今後、成長期の企業向けに、高度な技術を持つ人を対象としたスケールアップビザの申請受付を新たに開始する予定としている。これによりさらに英国に優秀な人材を呼び込み、企業の事業拡大を支援するとしている。
(注)アイルランドを除くEU加盟国と、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン、スイス。
(島村英莉)
(英国)
ビジネス短信 c429b8f7eec67b82