無人自動運転タクシー、重慶市・武漢市で運行開始

(中国)

成都発

2022年08月17日

中国の検索エンジン最大手の百度(Baidu)は88日、重慶市と湖北省武漢市の両政府から無人運転モデル運営資格を取得し、両市において中国内初となる完全無人運転タクシーのサービスを開始すると発表した。重慶市では永川区の特定エリア(30平方キロ)、武漢市では経済技術開発区の特定エリア(13平方キロ)において、乗務員やサポートスタッフなしの無人運転タクシーサービスを提供する。

無人運転タクシーは、重慶市永川区では午前9時半から午後4時半まで、武漢市経済技術開発区では午前9時から午後5時まで毎日運行する。居住区、商業ビル、地下鉄駅など複数の指定乗降スポットにおいて、百度が開発したアプリケーションで利用が可能となる。百度自動運転運営管理部の呉瓊上級専門員によると、同社による自動運転の試験走行距離は累計で3,200万キロに達し、4,000件以上の関連特許を有している。それらは、技術面およびサービス面において、安全な無人運転環境の提供を保障するものだ。第5世代移動通信システム(5G)を活用して遠隔でリアルタイムの運行状況を監視、必要に応じてコントロールすることで、乗客の安全を確保ができると解説した。

重慶市では、20198月に同市で開催された中国国際スマート産業博覧会(2019年9月13日記事参照)で、同市永川区政府が「西部自動運転テスト運営基地」の設置について百度と合意し、同区中心エリア内20平方キロの道路をスマート化させ、自動運転技術の商業利用に向けた走行テストの実施が始まっていた。翌2020年には、中国西部で初の自動運転バステスト基地として、運転席にサポートスタッフを乗せて走る自動運転バスの商業運行が正式に開始された。百度は202112月に、「アポロ」(注)と名付けた自動運転プロジェクトを始動。永川区で自動運転車両14台を投入し、商業化試験を実施してきた。

各都市の取り組みが進む中で、中国交通運輸部は88日、「自動運転車両運行に関する安全ガイドライン(試行)(意見募集稿)」を発表した。通信技術による車両の管理、安全管理システムの確立、車両保険の加入条件など複数の条項が盛り込まれている。

写真 公道を走る無人自動運転タクシー(重慶市永川区政府提供)

公道を走る無人自動運転タクシー(重慶市永川区政府提供)

(注)「アポロ」は、車両とハードウエアシステムを結び付け、百度の自社自動運転システムを構築する人工知能(AI)。百度が自社で自動運転技術の開発に取り組むのではなく、オープンソースの手法で自社が持つ技術の核心として、高精度かつ広範囲の地図や、運転路線の決定、障害物感知、シミュレーションなどのツールなどをパートナー企業に提供する。

(王植一)

(中国)

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