広東省、燃料電池自動車モデル都市群建設計画を発表、2025年までに1万台超の普及を目指す

(中国)

広州発

2022年08月22日

中国・広東省発展改革委員会は812日、「燃料電池自動車普及のモデル都市の建設を促進するための行動規画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(粤発改産業〔2022345号、以下、行動規画)を発表した。2025年までに、コア部品の技術水準を全国上位レベルに引き上げるほか、燃料電池自動車の普及台数を1万台以上、年間水素エネルギー生産量を10万トン超、水素ステーションの増設を200カ所超、自動車用水素の末端価格を1キログラム当たり30元(約600円、1元=約20円)以下とすることなどを目標に掲げた。

広東省は202192日に、燃料電池自動車モデル都市群に選定されたと発表した(202197日記事参照)。今回の行動規画により、各市における役割など、より具体的な取り組み内容が明らかとなった。主な内容は以下のとおり。

  • 燃料電池ボルタパイル、膜電極接合体(MEA)、水素循環システムなどコア部品の生産技術の向上を促進する。広州市、深セン市、仏山市は燃料電池技術のイノベーションと産業の集積地として、東莞市、中山市、雲浮市はコア材料や技術、設備の研究開発製造基地として、東莞市、珠海市、陽江市は水素供給基地としての役割を担う(注)。
  • 水素エネルギーおよび燃料電池関連部品の研究開発と産業化を促進する。また、品質管理機構および関連検査サービス会社による、燃料電池自動車の検査プラットフォームと標準制定プラットフォームの構築を支援する。
  • 145カ年(20212025年)規画期間中に、省内に300カ所の水素ステーション(うちモデル都市群に200カ所超)、物流園区と港などでの自社・入居企業向けの水素ステーションを増設。既存のガソリンスタンドに水素ステーションを併設し、関連の手続き、管理方法、補助金制度などを整備する。
  • 水素ステーションの建設に対して補助金を支給する。第145カ年規画期間中に建設・運用され、1日当たりの水素供給が500キログラム以上の水素ステーションが対象。うち、ガソリンスタンド併設型水素ステーション、水素の製造・供給一体化ステーションには1カ所当たり250万元、固定式水素ステーションには同200万元、移動式水素ステーションには同150万元を支給する。また、これら補助金制度を活用して供給コストを削減。末端価格の引き下げを図る。
  • トラック、建設車両、コールドチェーン物流車などの電動化を加速する。走行距離、技術基準を満たし、国家の総合評価ポイントを獲得した燃料電池自動車に対して購入補助金を与える。

現地日系自動車メーカーの関係者は、本行動規画が燃料電池車の普及の後押しとなることに期待を示した一方で、「水素ステーションの建設の加速化と、燃料電池車の普及に向けた道筋がどれほど具体的に実現するか注視する必要がある」との見方を示している。

(注)珠海市は2022727日に、2035年までの水素エネルギー産業発展規画を発表した(2022810日記事参照)。

(梁梓園)

(中国)

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