税関が関税法セミナー実施、同法改正に向け公聴会実施を表明

(タイ)

バンコク発

2022年08月19日

タイ税関は84日、関税法の最新事情に関するオンラインセミナーを実施した。同セミナーで担当官は「現行の2017年関税法は、施行から5年が経過した。ビジネスの実態により即した法令とし、運用面の課題を改善するため、同法改正に向けた公聴会の開催準備を進めている」と説明した。公聴会は2023年に開催される予定で、税関のウェブサイトを通じて案内される予定だ。担当官は輸出入事業者に対して、常に関税法改正にかかる最新情報を入手することを推奨した。

また、セミナーでは2017年関税法に関する詳細な解説も行われた。要点は以下のとおり。

  • タイの関税の概説:タイの関税は、関税法と関税定率法に基づいて課され、輸入品や一部の輸出品(皮革、木材、油の3品目)が対象となる。密輸品(没収)、特恵品目(関税の払い戻し/免除)、積み替え/通過貨物など、輸入関税が課されない商品もある。
  • タイでの関税徴収:輸入物品を積載した船舶、航空機などがタイに到着した時点で発生する。どのような輸送手段でタイに到着した物品であれ、輸入者は輸入申告書に必要書類(船荷証券、インボイス、パッキングリストなど)を添付し、電子税関システムを通じて提出し、適切な期間内に通関することが義務付けられている。
  • 税関の違反行為と罰則:税関手続きの不順守、虚偽申告、また最も重い犯罪としては密輸や関税の脱税がある。法定刑は関税法の関連規定で定めている。内容によって違反行為は税関レベルで解決することも可能で、その場合起訴は免除される。
  • タイの関税減免制度:(1)関税の払い戻し制度、(2)フリーゾーン、(3)保税倉庫、(4)関税・税の補償制度(タックスクーポン、注)、(5)タイ投資委員会(BOI)の税務恩典、(6)自由貿易協定(FTA)による特恵恩典などの種類がある。各制度の条件に従い、関税優遇措置が設けられている。
  • 新型コロナウイルス禍の関税減免措置:感染症流行による事業者への影響を軽減するため、救済措置が設けられている。具体的には、(1)新型コロナウイルス感染症の治療、診断、予防のために輸入される物品に対する免税措置、(2)輸入マスク、マスク製造用の輸入資材の免税措置(2022年4月5日記事参照)、(3)自己申告を行う企業に対する追徴関税の引き下げ措置(2022年7月4日記事参照)、(4)輸出のための部品・素材輸入関税の払戻し措置(関税法第29条)の期限延長措置、(5)通過/積み替え貨物について、輸入者が、国内保管期限(入国日から30日)を超えて国内保管することを認める(期限内に持ち出されなかった貨物を没収しない)措置(2022年7月4日記事参照)などがある。

(注)特定品目を輸出する事業者は、当該輸出品の生産に使用された設備や機械、燃料に含まれる関税・税金を補償するため、タックスクーポンを受け取ることができる。クーポンは、ほかの関税や税金の支払いに利用できる。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ)

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