7月の経済指標を発表、消費は減速

(中国)

北京発

2022年08月16日

中国・国家統計局は815日、202217月および7月の主要経済指標を発表した(添付資料表参照、注1)。国家統計局の付凌暉報道官は、世界的な経済の減速やインフレ圧力、国内各地での新型コロナウイルス感染拡大の発生により、経済を安定的に維持する難易度が高まったとの認識を示しつつ、そのような状況下でも7月の中国経済は回復の勢いを保ち、基本的に安定を保ったと評価した。

17月の投資(固定資産投資)は、前年同期比5.7%増(16月:6.1%増)と減速した。うち、インフラ投資は7.4%増(7.1%増)となり3カ月連続で加速した一方、民間投資は2.7%増(3.5%増)と引き続き減速した。また、不動産開発投資は6.4%減(5.4%減)と引き続き減少幅が拡大した。

国家統計局の付報道官は、各地方が「両新一重(注2)」などの大型プロジェクトの着工・建設を進めたことがインフラ投資増に寄与したほか、一連の減税策などが製造業投資(9.9%増)の安定的な伸びにつながったと指摘した。また、不動産に関しては、市場が全体として落ち込み傾向にあるとの認識を示しつつも、不動産投資の減少幅拡大の程度は縮小していると指摘し、今後、各都市の不動産政策の効果が表れるにつれて市場は徐々に安定化に向かい、経済へのマイナスの影響も緩和していくと見通した。なお、一部の地域で住宅の引き渡しに関する問題が発生していることについて、全国的にみれば、工期が2年以上で引き渡し期限が近い不動産開発プロジェクトの建設状況は安定していることから、リスクは全体として管理可能だと指摘した(注3)。

17月の消費(社会消費品小売総額)は、前年同期比0.2%減と引き続きマイナス圏内となったものの、減少幅は16月と比べて縮小した。7月単月では前年同月比2.7%増となり、4カ月ぶりにプラスに転じた前月(3.1%増)から減速した(注4)。

17月の工業生産増加額(付加価値ベース)は、前年同期比3.5%増と前期からほぼ横ばいだった。7月単月では前年同月比3.8%増(6月は3.9%増)となった。

若年層失業率は引き続き上昇、20%に迫る水準に

消費者物価上昇率は、17月平均で1.8%となった。7月単月では2.7%と、6月(2.5%)よりも上昇した。7月末の都市部調査失業率は、前月比0.1ポイント低下して5.4%となった。一方、1624歳の調査失業率は前月比0.6ポイント上昇して19.9%となり、国家統計局のデータで確認できる20181月以降の期間では過去最高になっている(添付資料図参照)。

(注17月の貿易動向については2022年8月12日記事参照

(注2)新型インフラと新型都市化に関連する投資、および水利・交通インフラなどの重要インフラへの投資を指す。

(注37月末に開催された中国共産党の中央政治局会議では、2022年下半期の経済政策の方針について議論された。同会議に関する発表には、不動産政策策定・実施に当たっての地方政府の責任を強化し、「住宅の確実な引き渡しを保証する(「保交楼」)」ことが盛り込まれた(2022年8月2日記事参照)。

(注4)国家統計局の付報道官は、7月は自動車消費促進策の効果減退や同月が消費の閑散期であること、石油価格上昇などの要因が重なり、自動車類や石油・石油製品の販売が減速したことが同月の消費減速の主因と指摘した。

(小宮昇平)

(中国)

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