7月の貿易額は輸出が牽引し、2桁の伸びを保つ

(中国)

北京発

2022年08月12日

中国海関総署の202287日の発表によると、20227月単月の貿易総額(ドル建て、以下同)は前年同月比11.0%増の5,647億ドルとなり、前月(10.3%増)に引き続き2桁増となった。そのうち、輸出額は17.8%増(6月は17.9%増)の3,330億ドル、輸入額は2.5%増(同1.0%増)の2,317億ドルで、貿易収支は1,013億ドルの黒字だった(添付資料表参照、注)。なお、7月の貿易貨物輸送量は前年同月比5.4%減となった。そのうち、輸出は4.6%減、輸入は5.8%減と輸出入ともにマイナスとなった。

7月の貿易額を中国の主要な貿易パートナーであるASEANEU、米国、日本、韓国についてみると、輸出ではASEAN向けが前年同月比33.5%増となったのを筆頭にほぼ軒並み2桁増となった。なお、4月から6月までは韓国向けの輸出額が日本を上回っていたが、7月は日本向け輸出額が2割近く増加して、再び韓国を上回った。一方、輸入では、米国が伸び率で前月の2割増からマイナスに転じたのを除き、いずれも伸び幅が拡大するか、あるいは減少幅が縮小した。なお、ロシアとの貿易は、輸入額、輸出額ともに前年同月比2桁増となり、総額では37.1%増となった。

また、7月の貿易額を主要品目別にみると、輸出では、自動車および自動車部品が好調だった一方、携帯や家電がマイナスになった。輸入では、大豆・原油・石炭・天然ガスの金額が増加したものの、数量はいずれも減少している。

海関総署の李魁文報道官は、5月以降の貿易の伸びの回復傾向が7月も継続し、マクロ経済全体の安定に貢献した、と評価した(「21世紀経済報道」89日)。

光大銀行金融市場部の周茂華マクロ研究員は、7月の輸出の伸びが事前予想を上回った、と指摘した上で、その要因として、海外需要が依然拡大していることや自動車の輸出が好調であることなどを挙げた。今後については、輸出の伸びは鈍化傾向になるとみられるものの、企業支援策などの効果が表れることで、外需の鈍化やサプライチェーン要因による下押し圧力を和らげることができる、との見方を示した(「上海証券報」88日)。

(注)元建てでは、貿易総額が前年同月比16.6%増、輸出額が23.9%増、輸入額が7.4%増だった。

(小宮昇平)

(中国)

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