非友好国の投資家による一部企業の株式取引を禁止

(ロシア、日本)

欧州ロシアCIS課

2022年08月08日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は85日、非友好国の投資家によるロシアの資源・エネルギー企業や金融機関の株式取引などを2022年末まで禁止する大統領令(2022年8月5日付大統領令第520外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に署名。即日発効した。非友好国によるロシアへの経済制裁に対する対抗策の一環。

禁止の対象となる取引は以下のとおり。

a.ロシア政府の定める戦略的企業(200484日付大統領令第1009号、注)の株式

b.前述のa.に定めた企業が出資する事業会社の株式

c.石油・ガスプロジェクト「サハリン1」と、北極圏のネネツ自治管区に位置するハリャガ油田採掘プロジェクトの参加者に属する株式、権利、義務

d.資源・エネルギーの採掘に必要となる設備の製造やその保守・修理などを行う企業の株式。対象となる企業リストは連邦政府が作成し、大統領が承認する

e.連邦政府が作成し、中央銀行の合意を得て大統領が承認するリストに掲載する金融機関の株式

f.石油、ガス、石炭の大規模鉱床(それぞれ2,000万トン以上、200億立方メートル以上、3,500万トン以上の埋蔵量)の開発に携わる企業と、ウランや白金族金属やダイヤモンド、特定のレアメタルなどの鉱床の開発に携わる企業の株式

この大統領令に違反して行われる取引は無効となる。なお、サハリン1には日本政府と石油資源開発、伊藤忠商事、丸紅などが出資するサハリン石油ガス開発(SODECO)が30%の権益を保有している。

なお、この大統領令は「サハリン2」の投資家には適用されない。「サハリン2」について、プーチン大統領は630日付で運営主体の再編を命じる大統領令に署名し、連邦政府は82日、それに基づいて「サハリン2」の新たな運営会社の設立を定めた政令に署名している(2022年7月4日記事8月5日記事参照)。

適用期間は20221231日までとされているが、必要に応じて延長すると大統領令に規定されている。

(注)資源・エネルギー、航空宇宙、物流といった分野の企業が含まれる。

(宮下恵輔)

(ロシア、日本)

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