4~6月の経済成長率、前年同期比7.4%、インフレ加速が経済の重荷に
(フィリピン)
マニラ発
2022年08月19日
フィリピン統計庁(PSA)は8月9日、2022年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率を前年同期比で7.4%と発表した(添付資料表参照)。政府は2022年の経済成長率の予測値を6.5~7.5%と設定しており、同予測範囲内に収まった(2022年7月22日記事参照)。
ただし、前期比の成長率〔2022年第1四半期(1~3月)から第2四半期の成長率、季節調整済み)はマイナス0.1%だった。アルセニオ・バリサカン国家経済開発長官は同日、燃料や食料価格の高騰に起因したインフレ率の上昇が経済成長の重荷になっていると指摘した。なお、7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比で6.4%となっており(添付資料図参照)、政府が目標範囲とする2~4%を大きく超過している(注)。
実質GDP成長率を需要項目別にみると、前年同期比で国内総固定資本形成が20.5%、政府最終消費支出が11.1%、民間最終消費支出が8.6%増加し、比較的大きな伸びを示した。ベンジャミン・ディオクノ財務相は同日、民間部門での需要の高まりが景気を支えているとの見解を示した。
産業別では、前年同期比でサービス業は9.1%、鉱工業などが6.3%と高い増加率を記録した。一方、農林水産業の増加率は0.2%にとどまった。サービス業の中では、宿泊・飲食が前年同期比29.9%増、運輸・倉庫が27.1%増と顕著な伸びを示した。政府は新型コロナウイルス対策の行動制限や入国規制の緩和、ワクチン接種の推進などを通して経済活動の再開を促進しており、新型コロナ禍によって活動が抑制されていた人、物の移動が回復しつつあることがうかがえる。
(注)フィリピン政府は物価上昇率の目標範囲を明示し、その範囲内に収まるように金融政策を運営するインフレターゲットを導入している。政府は2022年から2024年まで、年間のCPI上昇率の目標範囲を2~4%としている。
(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)
(フィリピン)
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