香港サミット開催、李家超行政長官が基調講演

(香港)

香港発

2022年08月18日

「香港高峰論壇(香港サミット)2022」が817日、香港会議展覧中心で開催された。このイベントは、香港の有力経済団体である香港中華総商会が主催し、ジェトロは協力機関として参加。2010年、2012年、2017年に続いて4回目の今回は「地域協力の新パラダイムにおける新たな機会」をテーマに掲げた。香港や中国本土、各国の貿易当局関係者やビジネスリーダー、専門家、学者らが一堂に会し、リアルとオンラインのハイブリッドでの開催となった。

基調講演には、71日に就任した李家超(ジョン・リー)行政長官が登壇した。李長官は、香港にとってビジネス往来が重要との認識を強調。812日から、香港への入境者に義務付けていた指定検疫ホテルでの強制隔離措置について、従来の最短7日間から3日間(+4日間の健康観察)に変更したと説明した(2022年8月10日記事参照)。入境者の負担軽減を図るとともに、香港と中国本土に感染拡大リスクをもたらさないよう、引き続き新型コロナウイルス感染対策を進めていくとした。地域協力に関しては、30年以上にわたり加盟しているAPECや、2021年に全面発効したASEAN・香港自由貿易協定(AHKFTA)とともに、20221月に発効した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定(注)にも言及。「2021年の香港のRCEP加盟国との貿易額は全体の7割を占め、香港はRCEP加盟国15カ国のうち13カ国との間で既にFTAを締結済みだ」と述べた。

さらに、李長官は「香港は世界で最も開放的で競争力のある地域の1つであり、中国本土や世界中とつながる機会を提供できる」と香港の優位性を強調。「協力して香港の新たなページを開いていこう」と呼び掛けた。

地域協力における香港の役割に期待

同イベントには、日本からジェトロ海外調査部の若松勇部長がオンラインで登壇し、「RCEPの意義と香港への期待~日本の視点」をテーマに講演した。若松部長は、RCEPは日本にとって中国、韓国との初めてのFTAであり、また、中国やASEANに進出した日系企業の輸出先として、RCEP対象国が78割を占めると紹介。日本企業にとってのRCEPの重要性を強調した。また、香港に対しては、地域の物流ハブとして、サプライチェーンの強靭化を促進していく役割について期待を示した。このほか、7月に実施した在香港日系企業アンケート調査(2022年7月27日記事参照)で課題として上がった「ウィズコロナ政策への転換」「往来制限の早期撤廃」への期待についても触れ、香港が国際都市、中国ビジネスのゲートウエーとしての役割を引き続き果たすには早急に入境規制の緩和が必要との要望を伝えた。

海外からはインドネシア、マレーシア、ベトナム、タイの貿易担当省庁の関係者がそれぞれスピーチを行った。

写真 VIPとスピーカーによるフォトセッション(ジェトロ撮影)

VIPとスピーカーによるフォトセッション(ジェトロ撮影)

写真 李家超(ジョン・リー)行政長官の基調講演(ジェトロ撮影)

李家超(ジョン・リー)行政長官の基調講演(ジェトロ撮影)

(注)当地報道によると、香港政府は20221月中旬、RCEP協定への加盟を申請した。香港経由でのRCEP活用の動きについては2022年4月7日記事参照

(山口雅史)

(香港)

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