米連邦高裁、連邦公有地での石油・ガス開発リース停止の差し止め認めず

(米国)

ヒューストン発

2022年08月24日

米国連邦高等裁判所は817日、バイデン政権による石油・ガス開発のための連邦所有地・水域の新規リース契約停止に対するルイジアナ州連邦地方裁判所の差し止め命令を無効とし、審理を差し戻したPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)

ジョー・バイデン大統領は就任直後の2021127日に署名した大統領令で、気候変動対策として化石燃料採掘抑制のため、石油・ガス開発のための連邦所有地・水域の新規リースを一時停止し、内務省にリース許可・手続きの包括的な見直しを行うよう指示していた(2021年1月29日記事参照)。しかし、同大統領令について、ルイジアナ州連邦地方裁判所は石油・ガスリース販売を一時停止する権限は議会だけにあるとして、2021615日に差し止めを命じていた(2022年4月21日記事参照)。

連邦高裁は今回、ルイジアナ州連邦地方裁判所の命令とその付随文書は「具体性に欠く」もので、差し止めの対象となった内務省の措置はまだ最終決定されていなかったとの判断を示した。

一方で、ウクライナ情勢によるエネルギー供給の逼迫やガソリン価格高騰などを受け、バイデン政権はリース契約再開の動きも示していた。内務省は2022415日、連邦公有地での石油・ガス開発リース販売計画を再開すると発表したほか(2022年4月21日記事参照)、71日には連邦政府が管轄する領海外大陸棚(OCS)の海洋石油・ガス資源開発について、2023年から2028年までのリース販売プログラム案を発表した(2022年7月11日記事参照)。加えて、816日に成立したインフレ削減法には、メキシコ湾とアラスカ沖のOCSにおける追加リースが盛り込まれた(「ワシントン・ポスト」紙電子版817日)。

今回の連邦高裁の判断により、バイデン政権は再びリース契約を止める選択肢を与えられた格好となる。石油・ガス開発の新規リースを停止するか否かをめぐっては、司法の判断に政府が翻弄(ほんろう)される状況が続いている。

(沖本憲司)

(米国)

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