商品輸送証明書の導入移行期間を2022年末まで延長
(メキシコ)
メキシコ発
2022年08月23日
メキシコ国税庁(SAT)は8月22日、商品輸送証明書(CFDI+CCP、注1)に不備があった場合でも、罰則や罰金が適用されない移行期間を2022年12月31日まで延長すると、ウェブサイトにプレスリリースを出して発表した。移行期間は当初2022年3月31日までだったが(2021年12月28日記事参照)、3月9日に公示した2022年の税務細則(RMF2022)の第3次改定の第1次事前告示に基づき、9月30日まで延長していた。今回、この期限をさらに12月末まで延長した。
国内の輸送業者には、インターネットデジタル税務証票(CFDI、電子インボイス)に関連づけたCFDI+CCPの携行が2022年1月1日から義務付けられている(2021年12月17日記事参照)。輸送業者については以前から、合法的に商品を輸送することを荷主から依頼されていることを証明する紙の「輸送証書(Carta de Porte)」を携行する必要があったが、密輸や脱税目的で同じ証書を複数回使い回して輸送する不正が横行していたため、こうした不正防止の観点から、SAT管理の下で輸送証明書の発行プロセスを電子化する措置を導入した。
CFDI+CCP導入に際しては、入力するデータ項目が多岐にわたるほか、従来は同じ荷主に対して1週間単位、1カ月単位でまとめてCFDIを発行できたが、今回の制度導入に伴い、1回の輸送ごとに必ずCFDI+CCPを発行する必要が生じるため、輸送業者の負担が増す。また、不備のあるCFDI+CCPを受け取った荷主は、輸送業者に支払った輸送代金を損金算入できなくなるため、同制度に十分に対応する能力のある輸送業者を利用する必要があるが、メキシコの輸送業者には小規模な事業者も多く、電子化プロセスに十分に対応できない輸送業者も多い。今回の移行期間延長は、9月末までに対応が間に合わないという荷主や輸送業者の声にSATが応えたもの。
データ目録に該当する選択肢がない場合はマニュアルを参照
CCPに入力する情報としては、原則としてデータ目録に記載されたコードを入力することになる。しかし、必ずしも全ての選択肢が目録に載っていないこともあり、特別な方法でデータ入力するケースも存在する。例えば、輸送に用いるトラックがメキシコ公式規格(NOM-012-SCT2-2017)に基づく「C2」トラックの重量や寸法を上回り、連邦道路の通過距離が30キロを超える場合はCCPの入力が必要になるが、貨物積載量が8トン以内の場合、「C2」の車両でもインフラ通信運輸省(SICT)の走行許認可が不要なため、CCPへの入力が必要なSICTの走行許認可番号が入力できない。このような場合に必要な特別な方法は、SATの専用ウェブサイトに掲載されている入力ガイドに記載されている(注2)。
(注1)輸送業者が荷主に輸送代金を請求するために発行するCFDIにカルタ・ポルテ(Carta Porte)と呼ばれる補完データ(CCP)を入力した上で、それを印刷した証書、もしくはそのPDF版。輸送代金を請求しない自社輸送の場合でも、貨物の移動を証明する証憑(CFDI Traslado)にCCPを入力して発行することが必要。
(注2)に挙げたトラックの走行許認可が存在しない場合の入力方法については、「走行許認可の種類(PermSCT)」の欄に「TPXX00」と入力し、「許認可番号(NumPermisoSCT)の欄に「カタログに掲載されていない許認可(Permiso no contemplado en el catálogo)」と入力する。
(中畑貴雄)
(メキシコ)
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