商品輸送証明書の導入で国税庁が2022年3月末まで移行期間を設定

(メキシコ)

メキシコ発

2021年12月28日

メキシコ国内の輸送業者には、「商品輸送証明書」(注)の携行が2022年1月1日から義務付けられるが、国税庁(SAT)は12月24日にプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発出し、同措置の実施について2022年3月31日まで移行期間を設けると発表した。今回の発表で、3月末までの移行期間中は「商品輸送証明書」に不備があった場合でも、罰則や罰金が適用されなくなった。

この措置は、12月16日付官報で公示したインフラ通信運輸省令に基づき、メキシコ領土内で商品を輸送する際には、インターネット・デジタル税務証票(CFDI、電子インボイス)にひもづけた「商品輸送証明書」を携行することが1月1日から輸送業者に義務付けられるというもの(2021年12月17日記事参照)。

トラック輸送業者については以前から、道路・橋・連邦自動車輸送法などに基づき、荷主から合法的に商品の輸送を依頼されていることを証明する紙の「輸送証書(Carta de Porte)」を携行する必要があったが、密輸や脱税目的で、同じ輸送証書を複数回使い回して輸送することなどが横行していたという。こうした不正を阻止するために、国税庁管理の下で輸送証明書の発行プロセスがデジタル化されるというもの。

ただ、デジタル化に伴って従前よりも詳細なデータが必要となり、かつ、国税庁のサイトからデータ入力することが求められるため、経済界や運送業界は適用延期や準備期間の導入を要望しており、今回の措置に至ったもようだ。

プレスリリースでは、以下の点についても記載している。

  1. 2022年1月から施行予定だった輸出入時通関時における輸送証明書の文書コード(Folio)の入力についても、2022年3月31日以降に義務化する。
  2. 陸路による国内輸送で、連邦管轄の道路を使わずに市道のみを通過する場合は「商品輸送証明書」は必要ない。
  3. 連邦管轄の道路を使用する場合でも、ライトトラックやバンなどを用い、かつ、連邦管轄道路の走行距離が30キロを超えない場合には「商品輸送証明書」は必要ない。
  4. 「商品輸送証明書」の提示を求めることができるのは連邦政府機関のみで、州・市警察にはその権限はない。

(注)輸送業者が荷主に輸送代金を請求するために発行するCFDIにカルタ・ポルテ(Carta Porte)と呼ばれる補完データ(CCP)を入力した上で、それを印刷した証書、もしくはそのPDF版。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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