電子インボイスにひもづけた商品輸送証明書の運用を2022年1月開始

(メキシコ)

メキシコ発

2021年12月17日

メキシコ領土内で商品を輸送する際のインターネット・デジタル税務証票(CFDI、電子インボイス)にひもづけた商品輸送証明書の運用が2022年初から義務化される。具体的には、輸送業者が荷主に輸送代金を請求するために発行するCFDIにカルタ・ポルテ(Carta Porte)と呼ばれる補完データ(CCP)を入力し、印刷した証書、またはPDF版を輸送業者が貨物に携行することを義務付ける。自社輸送の場合は、商品の移動のみを証明する証票(CFDI Traslado)にCCPを入力し、印刷版あるいはPDF版を自社トラックの運転手が携行する必要がある。

商法や道路・橋・連邦自動車輸送法に基づき、以前からトラック輸送業者は、荷主から合法的に商品の輸送を依頼されていることを証明する「輸送証書(Carta de Porte)」を携行する必要があったが、2021年12月16日付官報で公布されたインフラ通信運輸省令に基づき、今後はCFDIの補完データとしてのCCPがこの代わりとなる。同省令第3条に基づき、同省が連邦道路上の秤量所、あるいは事業所の査察を通じてCCPが入力されたCFDIが正しく発行され、携行されているかどうかの検認を行う。

CCPが必要なのはメキシコ領土内で商品を輸送する場合で、陸路や空路(国内便)、海路(内航船)が対象となるが、陸路では連邦道路を通過する場合だけであり、市内道路のみで輸送が完結する場合は必要ない(2021年の税務細則:RMF2021の第2.7.2.52則)。荷主は輸送業者に対し、商品の詳細な情報を事前に開示する必要があり、同データが輸送業者発行のCFDIにCCPとして正確に入力されていない場合、輸送業者から受け取ったCFDIを基に輸送経費を損金算入することができないだけでなく、当局の査察で不備が指摘された場合には連帯責任を負うことになる(RMF2021の第2.7.1.9則)。

CCPに入力するデータは、国税庁(SAT)が専用サイトで公開しているマニュアル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに従い、識別コードなども所定の目録エクセルファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に従って入力する。なお、自社輸送の場合、輸送業者を直接利用する場合、フォワーダーを介して輸送を手配する場合でそれぞれ発行するCFDIの種類やCCPの有無が異なる。また、宅配業者や混載業者に対する特例もある。詳細は添付資料を参照。

問題山積み、再度適用延期の可能性も

CCPは今まで利用されていた「輸送証書」と比べるとより詳細なデータを入力する必要があり、中小の輸送業者の中には十分に対応できない業者も多い。また、商品の種類によっては貨物内容が出荷直前まで確定せず、前もってデータを輸送業者に渡すことが難しい事例も多い。また、貨物のより詳細なデータを運転手が知ることになるため、犯罪組織と運転手が結託することによる貨物盗難が増えることを懸念する声もある。

CCPは、2021年9月22日付官報で公示したRMF2021の第3次改定と、2021年11月24日付のRMF2021第4次改定の事前告示に基づき、2022年1月1日に適用が義務化されるが、依然として準備不足を指摘し、適用延期を求める声が強いため、今まで2度にわたって延期されてきた適用開始が再び延期される可能性もある。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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