南西アジアで新型コロナ感染者数ぶり返すも、目立った制限措置なし

(インド、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ)

アジア大洋州課

2022年07月20日

世界的に新型コロナウイルスの新規感染者が再拡大している。南西アジア主要4カ国のインド、バングラデシュ、パキスタン、スリランカをみると、スリランカ以外は大きく増加している。英国オックスフォード大学の研究者らが運営するデータベース「アワー・ワールド・イン・データ」によると、インドの717日の新規感染者数は16,935人で、感染が比較的落ち着いていた41日時点と比較して13.4倍にもなっている。バングラデシュは同11.1倍の900人と、インドに近い増え方となっている。同様に、パキスタンは2.4倍の492人と急増しているが、スリランカは0.2倍の34人で41日よりも新規感染者数は減少した。

新規感染者数の拡大がみられるものの、各国は経済活動を動かすことに力点を置く。感染者数が大きく増えたインドでも、規制を強化する動きはみられない。州によっては公共の場でマスク着用義務が課されるものの、事業活動制限措置は導入されていない。バングラデシュでは、公的機関が5月以降、「BA.5」型の感染が拡大しているとの調査結果を発表した(202278日記事参照)。ただし、インド同様に新たな事業活動制限措置の導入はなく、ワクチン接種や適切なマスク着用、ソーシャルディスタンス維持、せっけんによる頻繁な手洗い推奨にとどまっている。

パキスタンは、感染拡大に歩調を合わせるように、6月以降に規制を強化・強調してきた。航空当局は6月、国内線でのマスク着用を義務付けた。7月に政府は、ワクチン接種者のみが事業活動の実施・移動が可能とするこれまでの措置をあらためて強調した。しかし、あくまで経済を動かしながら感染拡大回避を図るという点に政策の目的もあり、事業活動に表立った支障が生じているわけではない。対照的に、スリランカは6月にマスク着用義務を解除するなど制限措置緩和の方向にある(2022年6月24日記事参照)。

(新田浩之)

(インド、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ)

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