米上院情報特別委員長ら、超党派で連邦取引委にTikTokの調査要請

(米国、中国)

ニューヨーク発

2022年07月07日

米国議会上院情報特別委員会のマーク・ワーナー委員長(民主党、バージニア州)とマルコ・ルビオ副委員長(共和党、フロリダ州)は75日、連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長に対し、動画共有アプリTikTokとその親会社である中国のバイトダンスによる米国の利用者データの扱いに関して、正式に調査を行うよう求める書簡を送付外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

両議員は、中国にいるバイトダンスの従業員が米国の利用者情報にアクセスしているという米国のオンラインメディア「バズフィード」(617日)の報道を受け、これはTikTokのデータセキュリティー慣行に関するこれまでの説明と矛盾すると批判した。具体的には、TikTokが自社の企業統治に関わる決定にバイトダンスは一切関与していないと説明しているにもかかわらず、バズフィードの報道では、TikTokの技術者が最終的にバイトダンスの指揮下にあることが明らかになったと指摘。バイトダンスは、中国共産党と中国政府は米国の利用者データにアクセスできないと説明してきたが、こうした企業統治体制の下では、中国の国家情報法などによって米国の利用者データが中国当局に渡る重大なリスクがあると主張した(注)。一方、TikTokは同社のデータセキュリティー慣行について、6月末に共和党議員に宛てた書簡の中で、中国からのデータアクセスを認めつつ、利用者データの中国当局への提供を否定している(2022年7月4日記事参照)。

米国議会はTikTokをめぐる安全保障上のリスクに懸念を強めており、ルビオ議員を含む共和党の上院議員6人は623日、ジャネット・イエレン財務長官に宛てた書簡外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、バイトダンスによるTikTokの所有をめぐるリスクに対処するよう要請したばかりだ。政府でも、連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー委員が、アップルとグーグルにアプリストアからTikTokを削除するよう要請する書簡を送付している(2022年7月1日記事参照)。FTCはカーン委員長の下で企業による個人情報の扱いへの監視を強めており、今後の対応が焦点となる(2022年5月31日記事参照)。

(注)中国の安全保障貿易管理に関わる法制度については、ジェトロのウェブサイト「特集:新たな局面を迎える安全保障貿易管理」の「専門家による政策解説【中国】」を参照。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

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