バイデン米大統領、新たな気候変動対策発表、今後も追加対策を発表の見込み

(米国)

ニューヨーク発

2022年07月22日

米国のジョー・バイデン大統領は720日、新たな気候変動対策を発表した。議会では、「ビルド・バック・ベター(BBB)法案」(2021年11月1日記事参照)に含まれていた医療費引き下げや気候変動対策などを独立させて成立させようとする動きが模索されている。しかし、与野党で勢力が拮抗(きっこう)する上院では、民主党のジョー・マンチン議員(ウェストバージニア州)がインフレ加速を理由に、7月の消費者物価指数(CPI)発表前に気候変動対策法案を成立させることに反対するなど、いまだに法案成立のめどは立っていない。バイデン政権による今回の発表は、議会でのこうした動きを受けた対応とみられる。

発表された対策によると、最近頻発する山火事や洪水などの異常気象や災害への対策として、インフラ強化に23億ドルを新たに拠出するほか、低所得者層を対象にエアコンなどの空調機器購入補助や電気代の補助を行う。加えて、バイデン政権が進める洋上風力発電のさらなる普及のため、メキシコ湾で新たな候補地の選定作業を進めていくとしている。また、バイデン大統領は現状を「非常事態」と言及した上で、「数週間以内に大統領権限を行使」し、議会での議論を待つことなくさらなる追加対策を講じていくこととした。

2021年の米国の平均気温は史上4番目の高さとなるなど(2022年1月17日記事参照)、気候変動の影響は米国で顕著にみられる。719日にはテキサス州ウィチタ・フォールズにおいて、7月の最高気温としては史上最高となる46.1度を記録し、山火事などの災害も発生している。こうした現状を前に、バイデン大統領は「議会での対応は不十分だ」と不満を述べ、前述のとおり議会の動きに先行して、行政権限で対応を進めることを明確にしている。一方で、新型コロナウイルスへの対応時のように、国家非常事態宣言を宣言して気候変動対策への資金供給などより迅速に対応できるようにすべきという指摘もあったが、今回の発表では同宣言の発表は見送られた。

民間調査会社ロジウムグループは、現状の米国の気候変動対策では2030年時点での温室効果ガス(GHG)排出削減率は2005年比で24%から35%にとどまると予測しており、政権目標である50%から52%削減には大きく及ばないとしている。他方、2022630日の最高裁の判決では、環境保護庁のGHG排出規制権限を制限する判断が下されるなど(2022年7月1日記事参照)、立法府と司法府からは気候変動対策への協調姿勢を得られていないのが現状だ。バイデン政権は、行政府単独でも気候変動対策を進めていきたい考えだが、その場合は予算措置や法律権限などへの制約が常につきまとうと考えられることから、今後の対応が注目される。

(宮野慶太)

(米国)

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