IEA、太陽光パネル生産地の分散化を呼びかけ

(世界、中国)

国際経済課

2022年07月13日

国際エネルギー機関(IEA)は77日、特別報告書「太陽光発電のグローバルサプライチェーン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。それによると、中国は太陽光パネルの主要要素〔ポリシリコン、インゴット(注)、ウエハー、セル、パネル/モジュール〕の世界の生産能力の8割超を占めている。ポリシリコンについては、中国・新疆ウイグル自治区だけで世界全体の同4割に達する。既に建設中の生産施設も含めると、今後数年でポリシリコン、インゴット、ウエハーについては、中国のシェアが同95%まで高まるとみている。

中国はこれまで産業政策として、太陽光発電の市場拡大に努め、イノベーションへの支援を続けたことで、太陽光の生産コストを8割以上削減させるなど、世界の太陽光発電の発展に大きく貢献した。他方、ポリシリコン生産が供給上のボトルネックになるなど、需給バランスが崩れた。IEAは、こうした供給上のボトルネックや物価の急上昇により、太陽光パネルの価格は、2021年は前年から20%程度上昇し、パネルの供給遅れが生じていると報告している。

IEAのファティ・ビロル事務局長は「グローバルサプライチェーンにおける生産の地理的な集中は、各国政府が対応すべき今後の課題だ。世界におけるクリーンエネルギーへの急激な移行は、需要をさらに増加させ、サプライチェーンにさらなる負荷をかけることになる」と述べ、太陽光関連の生産機能の分散化を求めた。

なお、今回の報告書はIEAが同日発表した「クリーンエネルギー技術のサプライチェーン確保外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」のうち、太陽光発電に関する詳細報告書の位置づけとなる。また、20225月に発表した「世界EV見通し」(2022524日記事参照)を基にした車載電池に関する詳細報告書「車載電池グローバルサプライチェーン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」も同時に発表されている。

(注)原料のシリコンを溶かして結晶化して固めたもの。スライスしてウエハーにする。

(古川祐)

(世界、中国)

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