インド政府、中国からの投資を限定的に許可

(インド、中国)

ニューデリー発

2022年07月22日

インド商工省は事前許可制としている中国企業からの直接投資について、同規制を開始した20204月以降、これまでに計80件(629日時点)の投資申請を許可したことを明らかにした。同期間中の中国企業からの投資申請数は計382件で、うち約2割が許可された計算だ。不許可とした数については、商工省は情報開示を控えている。

商工省は20204月に中国を含む隣接国からの全ての直接投資に関して、一律に事前許可制に切り替えている(2020年4月27日記事参照)。同省はこの理由として、新型コロナウイルス感染拡大を受けて一時的に株価が暴落した国内企業が隣国の企業に不当に安く買収されることを防止するためとしている。ただし、実際には、インドと国境係争地帯を抱える中国に対して、インド政府が経済的な影響を抑制するために規制を敷いたとする見方が一般的だ。

商工省が公表している直接投資統計(事前許可制分)によると、2020年度(20204月~20213月)の中国からの直接投資として、従来の規制業種の金融分野では一部見られたが、それ以外の業種で許可された案件はゼロだった。2021年度に入り、徐々に中国からの投資案件も許可されるようになったが、主に中国本土ではなく、香港からのものだ(添付資料表参照)。中国本土からの新規投資案件は、電子部品や自動車部品の製造業など、ごく一部にとどまっている。

日系企業によるインドへの投資では、規制業種を除けば、日本本社からの投資は自動認可制となる。ただし、日系企業の中国法人(香港法人を含む)からの投資とする場合、当該投資が事前許可制の対象となる点には留意が必要だ。事前許可制の場合、申請から許可までにかかる期間は通常34カ月とされる一方、中国からの投資案件に関しては1年以上の場合もあると報じられている(「エコノミック・タイムズ」紙76日)。

(広木拓)

(インド、中国)

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