国境を接する国からの投資を事前認可制に、FDI政策改正
(インド)
ニューデリー発
2020年04月27日
インド商工省は4月18日、外国直接投資(FDI)政策の改正を発表。新型コロナウイルス感染拡大による経済状況の変化に乗じた外国企業からの日和見的な買収を牽制するため、業種にかかわらずインドへの投資に政府の事前許可を必要とする国の範囲を拡大した。
インドでは商工省産業国内取引促進局がFDI政策を一本に集約した「統合版FDI政策」を発表しており、最新は「2017年統合版FDI政策」。現在、インドの外国投資認可制度には当局からの事前承認を必要とせず、自動的に投資が認可される自動認可ルートと、事前に政府からの個別認可を取得する必要がある政府認可ルートの2種類がある。政府認可ルートとなる業種はFDI政策に記載されており、それに当てはまらない業種は自動認可ルートとなる。なお、原子力、不動産、たばこ、宝くじなど一部業種については外国直接投資が禁止されている。
今回改正される条項は投資者としての適格性を述べた第3章3.1.1。従来はパキスタンとバングラデシュのみが、自動認可ルートの業種であっても全ての投資について政府の事前許可が必要とされていたが、今回の改正により全業種で政府の事前許可を必要とする対象が、上記2カ国から、インドと国境を接する国もしくは対印投資の主体者がインドと国境を接する国に居住しているか、そのような国の市民である場合、に拡大された。
当地では、今回の改正は明らかに中国を警戒したものだと報じられている(2020年4月19日付「タイムズ・オブ・インディア」紙など)。在インド中華人民共和国大使館はこれを受け、4月20日、今回の改正は、貿易と投資の自由化と円滑化という一般的な潮流に逆行するものであり、インドがこのような差別的な規定を見直し、さまざまな国からの投資を平等に扱い、公正で開かれた平等なビジネス環境を醸成することを望む、とする声明を発出した。
(磯崎静香)
(インド)
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