米国人の57%がドローン配送を信頼せず、正確性に懸念、米民間調査

(米国)

米州課

2022年07月22日

米国では、ドローン配送のサービス展開が進んでいる。米国の電子商取引最大手アマゾンは2022年後半にカリフォルニア州でサービスを開始すると発表(2022年6月16日記事参照)しているほか、小売り大手ウォルマートも同サービスを年内に6州に拡大する意向を示している(2022年6月3日記事参照)。市場の大きな成長が今後見込まれる一方、以下の民間調査では、米国人がドローン配送に懐疑的な一面を持っていることが明らかになった。

米国調査会社のモーニング・コンサルトが719日に公表した米国人のドローン配送に関する意識調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)によると、ドローンが家庭や企業に商品をうまく届けてくれることをどの程度信頼しているかとの問いに、18歳以上の米国人の信頼度は43%(「とても信頼している」6%、「幾分信頼している」37%)にとどまり、57%は信頼していない(「あまり信頼していない」40%、「全く信頼していない」17%)と回答した。高い年齢層ほどドローン配送に対する信頼度は低い傾向にある。また、ドローン配送を通じて受け取る荷物について、生活用品(48%)への関心が最も高く、次いで衛生・美容用品(46%)、食料品(40%)、定形郵便物(40%)、薬・ヘルスケア用品(37%)、家電(29%)となった。

ドローン配送の懸念事項に関しては、「配送の失敗」(79%)を挙げた回答者が最も多く、性別による差は確認されない一方、高い年齢層ほどこれを懸念する割合が高かった。71%は「個人やデータのプライバシー」を懸念しており、ドローン使用による航空交通の安全(66%)や雇用の損失(65%)に対する懸念を上回っている。ドローンの商用利用はまだ十分に普及していないことから、その不透明さが消費者に不安を与えているとみられる。

米カリフォルニア州に拠点を構え、アフリカ諸国でも事業を展開するドローン配送企業のジップライン(2019年12月5日記事参照)は628日、ノースカロライナ州の病院や医療機関と連携して医療物資を届けるサービスを開始すると発表した。同社は前月の5月から、長崎県の五島列島でも医薬品などの配送を開始している。ドローン配送は、道路インフラが整備されていない遠隔地にも物資を届けることができ、消費者の信頼が高まるにつれ、社会性の高い事業も展開されていくと期待される。

(注)実施時期は62930日、対象は米国成人2,210人。

(片岡一生)

(米国)

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