世界の石油・ガス大手の「OGCI」、米ペンシルベニア州でCCS事業に投資

(米国)

ヒューストン発

2022年07月04日

世界的な石油・ガス開発企業12社で構成する「石油・ガス気候変動イニシアチブ」(OGCI、注)は6月28日、米国ペンシルベニア州で初の二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)プロジェクトを開発するキーステート・ナチュラル・ガス・シンセシスに出資したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社は、企業・銀行向け投資サービスの米国キーステート(本社:ネバダ州ラスベガス)と石油・ガス開発のフロンティア・ナチュラル・リソーシズ(本社:ペンシルベニア州ベルフォント)による合弁会社。

OGCIの発表によると、キーステートは今後、(1)天然ガスの採掘、(2)アンモニアや自動車用尿素など化学品の生産、(3)CCSの3事業全てを統合したプロジェクトをペンシルベニア州北部にある7,000エーカー(約28平方キロ)の敷地内で実施する計画だ。同プロジェクトでは、敷地内の化学品生産施設から排出されるCO2や、天然ガス採掘施設から排出されるCO2、メタンなどの温室効果ガス(GHG)を地中貯留することにより、短期的に大幅なGHG排出削減が期待されるとしている。

キーステートのペリー・バブ最高経営責任者(CEO)は「当社のプロジェクトが稼動すれば、地下1マイル(約1.6キロ)から天然ガスやメタンを引き上げ、CO2を分離してその大部分を地下深くに戻すことで、年間30万トン以上のCO2を恒久的に地中貯留できる可能性がある」と説明し、「米国の天然ガスの未来は、天然ガスの生産、CO2の分離・回収、CO2の恒久的貯留を組み合わせた、より低炭素なものになるだろう」として同社のビジネスモデルの将来性を高く評価している。

OGCIでは、同プロジェクトのほかにも、積極的な投資を展開しており、2022年5月31日に米国のニッケル・亜鉛電池メーカーのジンク・ファイブ(本社:オレゴン州テュアラティン)への出資を発表した(2022年6月8日記事参照)ほか、6月21日には米国の電気モーター製造企業ターンタイド・テクノロジーズ(本社:カリフォルニア州サニーベール)への出資を発表した(2022年6月22日記事参照)。

(注)Oil and Gas Climate Initiative。パリ協定を明示的にサポートし、気候変動への業界の対応を加速することを目的として、2016年に設置され、10億ドル以上のファンドを有している。構成メンバーは、アラムコ、シェブロン、エクイノール、エクソンモービル、ペトロブラス、シェル、トタルエナジーズなど12社。

(沖本憲司)

(米国)

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