世界の石油・ガス大手で構成される「OGCI」、電池メーカーの米ジンク・ファイブに投資

(米国)

ヒューストン発

2022年06月08日

世界的な石油・ガス開発企業12社で構成される「石油・ガス気候変動イニシアチブ」(OGCI、注)は5月31日、ニッケル・亜鉛電池メーカーである米ジンク・ファイブ(本社:オレゴン州テュアラティン)に出資したと発表した。ジンク・ファイブの有する技術が、商業・産業分野で二酸化炭素(CO2)の大幅な排出削減効果が実証されたことを受けてのものだ。

世界的なカーボンニュートラルの潮流が勢いづく中、電化に伴う電池の利用が急増している。OGCIは、第三者機関による調査を実施し、ジンク・ファイブのニッケル・亜鉛電池のCO2排出量は、リチウムイオン電池のCO2排出量に比べて85%以上少ないことが実証されたとしている。また、同社のニッケル・亜鉛電池は、小型・軽量で信頼性の高い設計のため、高出力・短時間駆動の用途において、費用対効果が高く、本質的に安全なソリューションを提供することが可能だという。

ジンク・ファイブは現在、大手OEMや顧客と直接協業し、データセンター、オフグリッド電力、高度道路交通システム(ITS)など、さまざまな用途で全米で2,500台以上のニッケル・亜鉛電池を納入している。

OGCIの投資担当プリンシパルであるハンナ・メイ・アンドリュース氏は「商業・産業分野の電化のために電池の使用が増加している中で、ジンク・ファイブの技術により、CO2排出量の大幅な削減が可能となる」「ジンク・ファイブはOGCIのメンバー企業や他の投資先企業とさまざまな応用分野で協力できる多くの可能性を持っている」と述べた。

OGCIによる投資の事例としては、2021年3月30日に、CO2回収・貯留(CCS)を利用して、北米で最も炭素の排出が少ないリオグランデLNG(液化天然ガス)施設を開発するネクストディケードへの投資を発表している(2021年4月5日記事参照)。また、2021年10月11日には、OGCIの創設メンバーの1社である、フランスの石油大手トタルエナジーズ(本社:パリ)がメタン排出量を大幅に削減可能な革新技術を有する米国キューナジー(本社:ユタ州オグデン)への投資を発表している(2021年10月15日記事参照)。

(注)Oil and Gas Climate Initiative。パリ協定を明示的にサポートし、気候変動への業界の対応を加速することを目的として、2016年に設置され、10億ドル以上のファンドを有している。構成メンバーは、アラムコ、シェブロン、エクイノール、エクソンモービル、ペトロブラス、ロイヤル・ダッチ・シェル、トタルエナジーズなど12社。

(沖本憲司)

(米国)

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