ウクライナ避難民の多くは当面、現在の受け入れ国にとどまる意向

(ポーランド、ウクライナ)

ワルシャワ発

2022年07月21日

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は713日、ウクライナ避難民の大多数はできるだけ早く帰国することを望んでいるが、約3分の2は戦争が終結し、治安状況が改善されるまで現在の受け入れ国にとどまると想定していることを明らかにした外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

UNHCR5月中旬から6月中旬にかけて、チェコ、ハンガリー、モルドバ、ポーランド、ルーマニア、スロバキアにいるウクライナ避難民約4,900人を対象に実施した調査をまとめた報告書によるもので、避難民は戦争中のため自分たちの将来に対する懸念を常に抱いており、長期的な計画を立てることができない状況にあることが示されている。

今回の調査では、回答者の70%が主に近親者を伴ってウクライナを離れており、全体の9割が女性や子供だった。また、回答者の77%が技術・職業学校、もしくは大学を修了しており、ほとんどの人がサービス関連分野の専門的な職業の就業経験を持っている。65%の回答者は現在の受け入れ国にとどまる予定としており、9%は今後1カ月以内に他の受け入れ国へ移動する予定。16%がウクライナへの帰国を予定していると回答したが、そのうちの60%はいつ帰国するか定かでなく、15%は家族訪問や物資調達、避難の支援などのために一時的に帰国する予定だとした。難民の滞在や移動に関する計画は、出身地域や避難からの経過時間、現在の受け入れ国によって大きく異なり、ウクライナの首都キーウ(キエフ)や西部の地域から来た難民は、東部や北部から来た難民よりも、帰国を計画している割合が高かった。

ポーランドでは335,000人のウクライナ避難民が就業

UNHCRによると、EU加盟27カ国全体で記録されているウクライナ避難民は719日現在で3765,720人。そのうち1234,718人がポーランドで避難民として登録されており、EU域内で最多だ。ポーランド通信社(PAP)は、ポーランドへの避難民は子供と女性が約半数ずつだと報道している(620日付)。また、家族・社会政策省は、719日時点で335,000人がポーランドで就業したと発表している。ポーランド政府はこれまでウクライナ避難民に対して支援法を施行(2022322日記事参照)。その後改正して支援を拡大している。78日にはウクライナ避難民のさらなる就業を促すため、ポーランドで仕事を探しているウクライナ避難民のための新たなポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを立ち上げた。ポーランド政府は、低い失業率を記録しているポーランドの労働市場にウクライナ避難民を取り込みたい考えだ。

(今西遼香)

(ポーランド、ウクライナ)

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