在中国米国企業、新型コロナによる生産やサプライチェーンへの影響は改善傾向に

(中国、米国)

北京発

2022年07月05日

在中国米国企業などが加入する中国米国商会は6月30日、新型コロナウイルスの影響に関する調査結果を発表した。同調査は、6月22日から24日にかけて同商会が実施した会員アンケートの結果を取りまとめたもので、4月(2022年4月7日記事参照)と5月(2022年5月16日記事参照)に実施したアンケートをフォローアップするものと位置付けられている(注1)。

新型コロナウイルスの感染拡大防止抑制措置の投資への影響については、計44%が中国における投資を遅らせたか、既に投資を減少させたと回答した。5月調査と比べると、回答率は8ポイント縮小した。

生産面の影響については、46%が労働力不足やサプライチェーンの不安定化、政府の指示による操業停止などにより生産の遅れや減少などの課題があると回答したが、5月調査と比べると同回答の比率は13ポイント低下した。なお、操業・生産の回復状況については、フル稼働で操業・生産しているとの回答が21%だったほか、過半数が76%以上の稼働率で操業・生産していると回答した。

業績に関しては、69%が2022年の売上高が減少する見通しと回答した。同回答は、5月調査と比べると11ポイント上昇した。

また、主に輸送・配送網の混乱により、サプライチェーンに課題があるとの回答は45%で、5月時点よりも16ポイント低下した。サプライチェーン上の課題に改善がみられるとの回答は21%と、5月時点から19ポイント上昇した。特に、上海で事業を展開している企業においては、23%がサプライチェーン上の課題が「大幅に改善した」と回答し、回答率は5月時点から21ポイント上昇している。

なお、中央政府および地方政府によって打ち出されている各種の企業向け支援策(注2)については、多くの企業が認識しているものの、政策の内容や実施が十分ではないとの回答が56%に上った。

このほか、14%(5月時点は12%)の回答者が、自社の外国人人材が中国への赴任を断るか、中国からの出国を計画・実行しているとした。また、77%が、外国人人材が中国への赴任を拒否する、あるいは、中国から出国する最大の理由として、隔離やロックダウンの期間に関する不確実性を挙げた。

(注1)今回のアンケートは、中国で事業展開する102の会員企業・団体から回答を得たもの(5月調査の回答数は121、4月の回答数は167)。また、業種別の内訳は以下のとおりとなっている。

  • 消費者向け産業(19社):消費財、教育、医療サービス、ホテル・旅行・娯楽、メディア・エンターテインメント、小売り・流通。
  • 資源・工業(31社):農業、自動車・モビリティー、機械、設備、システム・コントロール、石油・天然ガス、エネルギー、その他の工業分野(化学品、鉱業、製紙・包装など)。
  • 企業向けサービス業(25社):金融サービス(銀行、保険など)、投資(プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタルなど)、不動産・開発、運輸・物流、その他サービス(法律、人的資源、会計、マーケティング、広告・PR、調査、コンサルティングなど)。
  • 技術・研究開発業(24社):航空宇宙、医療製品(製薬、医療機器など)、テクノロジー・電気通信(ハードウエア、サービス)。

このほか、3企業・団体はその他として分類されている。

(注2)代表的なものとして、国務院が5月23日に発表した、経済安定化に向けた33項目にわたる措置がある(2022年6月2日記事参照)。

(小宮昇平)

(中国、米国)

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