新憲法草案否決後のプロセス、大統領の発言が物議
(チリ)
サンティアゴ発
2022年07月20日
チリで、9月4日の国民投票によって承認の是非が決する新憲法草案(2022年7月13日記事参照)をめぐるガブリエル・ボリッチ大統領の発言が国内で物議を醸している。同大統領は7月15日に現地メディアのチレビシオン(ChileVisión)が実施したインタビューで、国民投票の結果、新憲法草案が承認されなかった場合には、新たに新憲法議会を組織し、一連のプロセスを仕切り直す必要性があるとコメントした。この発言を受けてインタビュアーは、国民投票によって新憲法草案が否決される場合には、現行の憲法が引き続き有効となるのではないのかと質問。これに対して大統領は、2020年10月に実施された国民投票(2020年10月27日記事参照)の結果、新たな憲法を起草するプロセスの推進については、既に国民の合意が得られており、9月の国民投票の結果によらず、このプロセスが継続することは妥当な判断だと述べている。
この発言に対し、野党最大の会派・中道右派連合のチレ・バモス(Chile Vamos)や、チリ生産商工連盟(CPC)の代表を務める経済界の重鎮フアン・スティル氏らは、国民投票で否決後に新憲法の起草プロセスを継続させる場合には、国会での審議などを通じて国民の同意を得る必要があるとの見解を示した(「エル・メルクリオ」紙7月19日、「ディアリオ・フィナンシエロ」紙7月19日)。
民間調査会社カデム(Cadem)が7月13日から15日にかけて実施した最新の世論調査では、新憲法草案へ賛成は37%、反対は52%という結果が出ている。今回のボリッチ大統領の発言をきっかけとして、国民投票によって新憲法草案が否決された際の具体的な行動指針に注目が集まっている。
(佐藤竣平)
(チリ)
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