6月のインフレ率は前年同月比23.6%へ上昇

(ラオス)

ビエンチャン発

2022年07月08日

ラオス計画投資省統計センターが発表した6月の消費者物価指数報告書によると、同月のインフレ率は前年同月比23.6%、前月比では10.1%となった。5月には前年同月比12.8%(前月比3.2%)と過去15年間で最大となったが(2022年6月15日記事参照)、6月はさらにインフレが加速している。

同報告書は、前月に引き続く石油価格の上昇と、現地通貨キープ安の進行をインフレ進行の主要因として挙げた。家計の消費支出分類項目別(12分野)でみると、上昇率が最も高かったのは「交通・輸送」で、前年同月比55.5%増だった。うちガソリン価格は91.1%増。ラオスでは6月中にガソリンの公定価格が4回変更され、うち3回は値上げされた。2番目に上昇率が高かった項目は「その他の商品・サービス」で、前年同月比29.7%増、うち金は68.7%増だった。「食料・飲料」も前年同月比16.9%増と高い水準に達し、中でも植物油2.3倍、調味料53.0%増、卵・バター40.5%増、パン・小麦36.1%増だった。また、国内自給しているコメ(精米)も14.5%上昇した。

同報告書によると、国内生産に必要な資材類(化学肥料、畜産飼料、医薬品など)も輸入依存度が高く、農産物の生産コストの上昇を招いていると指摘する。ペット・ポムピパーク農林相は6月の国会で、コメの生産コストは1ヘクタール当たり800万~1,000万キープ(約72,0009万円、1キープ=約0.009円)だったものが、1,200万~1,500万キープに上昇しており、資材の国内生産化など生産コスト削減への取り組みが急務と答弁した。

なお、現地通貨キープは20223月中旬以降、対ドルで下落が加速。614日時点の市中レート(注)では、1ドル=2716キープまで下落した(前年同日比で半減)。その後、違法レートを適用している両替店の閉鎖など厳しい措置を打ち出したことで、630日時点で同レートは1ドル=16,783キープまで戻している。

(注)中央銀行は日次で公表している公定レートに対して、1.5%の範囲で外貨両替取引を認めている。しかし、多くの両替店がこの範囲を大幅に超えたレートを提示している。この市中レート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを中銀はモニタリングし、パラレルマーケットレートとして発表している。

(山田健一郎)

(ラオス)

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