米国成人の4割近くが「バッテリー式EV購入を真剣に考慮」、消費者団体レポート

(米国)

ニューヨーク発

2022年07月19日

非営利の消費者団体であるコンシューマーレポート(CR)が、米国の成人8,027人を対象に行った自動車の購入に関する意識調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)によると、現時点で車を購入あるいはリースする場合、回答者の36%が「バッテリー式電気自動車(BEV)を真剣に考慮する」と答えたことが分かった。14%はBEVを「確実に選ぶ」と回答しており、2020年にCRが行った同様の調査での4%を大幅に上回った。EV購入に対する消費者の意識が、この約2年間でより前向きに変わったことを示唆している。

BEVの利点について、回答者の3割強が「ガソリン車に比べ燃料費や維持費が安い」点にあると回答。また、28%が「保守費用を抑えられる」と答えるなど、コスト面でのメリットが購入意欲を後押ししていることも分かった。気候変動に対する意識に関しては、75%が人間の活動が影響している(「強く同意」45%、「ある程度同意」30%)と認識しており、70%が気候変動は個人的に重要(「非常に重要」35%、「ある程度重要」35%)と回答するなど、回答者の大半が環境問題を注視している結果となった。

一方で、BEVの購入を妨げる要因(複数回答可)について、61%が「充電に関する懸念(場所や時間)」、55%が「1回の充電で可能な走行距離」と答えた(注2)。また、52%が「購入・所有・維持に伴う費用」を要因として挙げたが、そのうち58%は「車両の購入価格」が妨げになると回答している。インセンティブに関しては、回答者の約半数が「BEVの所有者が利用できる税額控除などのインセンティブについて聞いたことがない」と答えており、実際の購入価格に対する正確な情報が周知されていない可能性が浮き彫りになった。

ジョー・バイデン米国大統領は、地球温暖化対策として、2030年までに新車販売(乗用車と小型トラック)の50%以上を、EVBEVとプラグインハイブリッド車)と燃料電池車(FCV)とする目標を掲げており、202111月にはインフラ投資雇用法を成立させ、EV用充電設備の新設などに対する助成金を発表するなど、具体的な取り組みを開始している(2022年2月16日記事参照)。CRのサステナビリティポリシー部門のクィンタ・ウォーレン副ディレクターは、今回の調査結果に関し「米国人が輸送コストの削減と環境への影響の低減に明らかな関心があることが分かった。(本調査結果は)自動車メーカーと政策立案者が、充電とコストに関する消費者の懸念に対処し、BEVによる節約の可能性やインセンティブについて周知するため、さらなる行動が必要なことを示唆している」と述べた。

(注1)調査期間は2022127日~218日。調査対象者は、オンラインが7,795人、電話が232人。

(注2)対象のうち、現時点で車を購入あるいはリースする場合、BEVを「確実に選ぶ」と答えた回答者を除く。

(大原典子)

(米国)

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