遼寧省、非化石エネルギー比率50%の目標を掲げる

(中国)

大連発

2022年07月22日

中国・遼寧省は714日、「遼寧省第14次5カ年(2021~2025年)エネルギー発展規画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同規画は、20223月に発表された「第145カ年規画期間の現代エネルギーシステム規画」(2022年3月31日記事参照)を受け、エネルギーの安全供給能力の増強、グリーン・低炭素エネルギーへの転換の加速、エネルギーの多様化促進、エネルギーシステムのスマート化・効率化、エネルギー構造変革の推進、家庭用エネルギー製品の品質向上、生態環境への影響評価の強化、の7つの分野において、重要任務、重点プロジェクト、目標を明確化した。

具体的には、遼寧省西部で風力を活用し、「松遼クリーンエネルギー基地」(注1)の建設を推進するとともに、遼寧省内における炭鉱の地盤沈下地域と旧工業地域を太陽光発電プロジェクト実施地域に転換する計画を掲げている。また、大連紅沿河原子力発電所の2期工事(注2)を推進し、電力市場の主要供給源をクリーンエネルギーに切り替えるとしている。2025年までに既存の火力発電は超低水準の排出基準を満たすものとし、非化石エネルギーを主要電力供給源として電力供給全体の50%までその比率を引き上げることを目標として掲げた。さらに、2025年までに揚水発電量を300万キロワット、新型エネルギー貯蔵容量(2022年4月15日記事参照)を100万キロワットまで伸ばし、蓄電によるピークカット能力をピーク時負荷の5%前後に到達させることを目標とした。

水素エネルギーに関しては、遼寧省大連市、鞍山市、阜新市、盤錦市、朝陽市、葫芦島の6都市からなる水素エネルギー産業クラスターにおいて、水素エネルギーの貯蔵、輸送、クリーンエネルギーによる水素製造技術、材料、設備の研究開発をサポートする計画だ。遼寧省の水素燃料電池車と電動車のモビリティサービスの構築に注力し、水素、ガソリン・ガスの注入、充電を統一的に供給できるステーションの拡充を図る方針も示した。

(注1)「松遼クリーンエネルギー基地」とは、2022312日に中国国営の通信社である新華社が発表した「中国第145カ年規画と2035年中長期目標の概要」で示した、全国9つの主要なクリーンエネルギー拠点の1つで、風力と太陽光発電とエネルギー貯蔵の一体化基地。

(注2)大連紅沿河原子力電所は、20078月に第1期の建設を開始した東北地域初の原子力発電所。2016年に第1期工事が完了、運営を開始した。2015年から第2期の建設を進めている。

(李莉)

(中国)

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