大連市で国家級蓄電システム実証プロジェクトが試運転開始

(中国)

大連発

2022年04月15日

中国国有企業の大連融科儲能技術発展と大連恒流儲能電站が開発・運営する中国初の国家級蓄電システム実証プロジェクトが2月から試運転に入っている。6月の正式稼働を目指しており、第1期では約40万キロワット時(kWh)の電力が貯蔵可能になる。同プロジェクトは中国科学院大連化学物理研究所が独自に開発した全バナジウムレドックスフロー電池蓄電技術(注1)を採用している。

風力発電や太陽光発電は自然条件に左右され、安定供給が難しい点はエネルギー業界も課題として認識してきたが、このプロジェクトにより再生可能エネルギーを蓄電することで、エネルギー構成における再生可能エネルギーの比率をさらに高めることができるとしている。また、災害時や非常時には、大連市送電網のバックアップ電源として機能することも可能となる。

中国政府が2022年1月に公表した「第14次5カ年規画・新型エネルギー貯蔵の発展の実施方案」では、新型エネルギー貯蔵技術は新しい電力供給システムを構築し、カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの目標達成に不可欠と述べている。同プロジェクトでは、電力供給システムのピークシェービング能力(注2)を向上させ、技術の有効性を実証し、技術基準と仕様を確立することや、蓄電池技術のロードマップ、運営方法、収益モデル、支援策を検証し、電力貯蔵の産業化を促進することとしている。

(注1)全バナジウムレドックスフロー電池(VFB)とは、新型グリーン二次電池として、循環寿命が長く、大規模に利用しやすく、応答が速く、場所の選定が自由などといった長所を有している。

(注2)ピークシェービングとは、電力などのエネルギー供給事業で、季節や時間帯によって高まる需要に応じるための対策。

(李莉)

(中国)

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