2025年までのエネルギー政策の方針発表、石炭のクリーン利用も推進

(中国)

北京発

2022年03月31日

中国の国家発展改革委員会と国家エネルギー局は3月22日、「『第14次5カ年(2021~2025年)規画』期間の現代エネルギーシステム規画」(発改能源〔2022〕210号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した(文書は1月29日付)。同規画は第14次五カ年規画(2021年3月10日記事参照)期間中のエネルギー関連政策の方針を示したもの。基本原則として、(1)(エネルギーの)安全を保障、グリーン・低炭素排出、(2)イノベーションに基づき、スマート化、高効率化を推進、(3)改革を深化し、開放を拡大、(4)民生を優先し、発展を共有の4つを掲げつつ、以下の数値目標を定めた。

(1)2025年までに年間のエネルギー総合生産能力を46億トン標準炭換算以上、原油生産量を約2億トン、天然ガス生産量を2,300億立方メートル以上、発電設備の総容量を30億キロワット(kW)に達するようにする。

(2)単位GDP当たりの二酸化炭素排出量を5年で18%削減する。2025年までに非化石燃料エネルギーの比率をエネルギー消費量ベースで20%前後、発電量で39%前後とする。末端のエネルギー使用量に占める電力使用比率を30%前後とする。

(3)単位GDP当たりのエネルギー消費量を5年で13.5%削減する。2025年までに、調整可能な電力の比率を24%前後、デマンドレスポンス能力(注)を最大需要電力の3~5%とする。

(4)エネルギー研究開発費を2025年まで年間7%以上増加させる。50前後の分野で基幹技術のブレークスルーを達成する。

(5)年間の1人当たり平均生活電力使用量を1,000キロワット時(kWh)前後とする。2030年までに電力消費における非化石燃料エネルギーの比率を25%とした上で、2035年には非化石燃料エネルギー比率をさらに引き上げる。

規画では、風力や太陽光、水力、原子力発電といった非化石燃料エネルギーの推進だけでなく、石炭のクリーン・高効率な利用についても盛り込んでいる。

国家エネルギー局の担当者は、世界的にエネルギー需給が緊迫する中でのエネルギー供給保証に向け、非化石燃料エネルギーと化石燃料のクリーン利用を統一的に計画・推進し、エネルギー供給能力の拡大を第一とするとしている。

(注)需給逼迫時などに家庭や企業が発電量に合わせ消費電力量を変動させることで需給を調整する仕組み。アグリゲーターと呼ばれる仲介サービス事業者が電力会社とユーザーをつなぐ。

(河野円洋)

(中国)

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