米運輸省、GMとフォードの自動運転車両に安全基準の適用除外を検討

(米国)

ニューヨーク発

2022年07月27日

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は721日、自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)とフォードが提出した自動運転システム(ADS)搭載車両に対する一定の要件免除を求める請願書(GM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますフォード外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表し、パブリックコメントの募集を開始した。車両の自動化に関しては、交通安全の向上や米国の技術競争力強化という観点からも注目が集まっており、自動車業界や議会は連邦政府に迅速な法整備を求めている(2022年5月10日記事参照)。今回、米国2大自動車メーカーの請願が認められれば、自動運転車(AV)の開発と実装に弾みがつくと期待される。

両社の請願書では、車両の安全基準を定める連邦自動車安全基準(FMVSS)のうち、AVに搭載不要な変速機やバックミラーの設置などに関して、同基準が認める2年間を上限とする年間2,500台以下の車両を対象とする適用除外を求めている(添付資料表参照)。これが実現すれば、安全機能を装備しない自動化レベル4(注)の車両生産と州間道路での商用利用が可能になる。GMは対象車両に同社AV子会社のクルーズとホンダが共同開発する「クルーズオリジン」を指定し、一般販売は行わないとしている。フォードも個人向けの販売は行わず、商用利用に限定する。

米国では、連邦政府が車両の安全基準を策定し、州政府が道路交通規制を定めている。GMは既にカリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から免許を取得し、サンフランシスコ市内でバッテリー式電気自動車(BEV)「ボルト」を改造したAVで「ロボタクシー」サービスを開始している。また、グーグル傘下のウェイモなども、既存車両を利用したサービスを展開している(2022年6月7日記事参照)。一方で、AV車両の安全基準に関する整備は遅れており、20223月にADS搭載車両を想定したFMVSSの一部修正にとどまっている(2022年3月22日記事参照)。フォードの広報担当者は「われわれは、スマートモビリティーの未来を形作るという共通の目標で、NHTSAと協力し続けることを楽しみにしている」と述べている(「CNETニュース」721日)。

NHTSAは、請願書に対するパブリックコメントを822日まで受け付ける。提出方法などの詳細は、米国政府ホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからドケット番号(GMNHTSA-2022-0067、フォード:NHTSA-2022-0066)を記入して参照。

(注)米国非営利団体SAEインターナショナルが定めた自動化のレベル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づく。レベル45では、人による運転が不要となる。

(大原典子)

(米国)

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