米6月の雇用者数は前月比37万2,000人増、失業率は4カ月連続3.6%、時給伸び鈍化

(米国)

ニューヨーク発

2022年07月11日

米国労働省が78日に発表した6月の非農業部門雇用者数は前月から372,000人増加し、市場予想の25万人増を上回った(添付資料表1参照)。失業者数が前月から38,000人減少したが、就業者数も315,000人減少した結果、失業率は4カ月連続で3.6%(市場予想と同じ)だった(添付資料図参照)。

失業者のうち、一時解雇を理由とする失業者数は前月(81万人)より17,000人増の827,000人、恒常的な失業者数は前月(1386,000人)より113,000人減の1273,000人だった。

労働参加率(注)は、生産年齢人口が前月から156,000人増加し、労働力人口が前月から353,000人減少した結果、前月から0.1ポイント低下の62.2%だった。

平均時給は32.08ドル(前月:31.98ドル)で、前月比0.3%増(前月:0.4%増)、前年同月比は5.1%増(前月:5.3%増)とともに鈍化した。

6月の非農業部門雇用者数の前月差372,000人増の内訳をみると、民間部門は381,000人増、うち財部門が48,000人増、主な業種として製造業は29,000人増、建設業は13,000人増だった。サービス部門は333,000人増で、教育・医療サービス業96,000人増、対事業所サービス74,000人増、娯楽・接客業67,000人増、運輸倉庫業36,000人増と、多くの業種で引き続き増加しており、前月減少した小売業も15,000人増となった。なお、政府部門は9,000人減とわずかながら減少に転じた。(添付資料表2参照)。

また、6月の人種別失業率は、白人3.3%(前月3.2%)、アジア系3.0%(前月2.4%)、ヒスパニック・ラテン系4.3%(前月4.3%)、黒人5.8%(前月6.2%)だった。

ネットフリックスなどハイテク企業を中心に最近になって人員抑制の動きなどがあることから、6月の雇用者数は前月よりも低めの数値が予想されていたが、ほぼ前月並みの数値となり、引き続き労働市場の堅調さが示されたかたちだ。加えて、時給の伸びは鈍化しており、物価高抑制の観点からは望ましい一方、労働参加率は低下し、引き続き賃金上昇圧力は強い。76日に公表されている5月の雇用動態調査では、求人数は約1,130万件ある一方、5月の失業者数は595万人で、失業者数1人当たり1.9件の求人があることになり、労働需給は引き続きタイトだ。米国連邦準備制度理事会(FRB)は72627日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ポイントもしくは0.75ポイントの政策金利引き上げを行うことを明言しているが(2022年6月16日記事参照)、今回の堅調な雇用統計の結果は、前回6月の会合と同じ0.75ポイントの引上げを後押しする材料になると言えそうだ。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(宮野慶太)

(米国)

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