政府が広州南沙区を3つ目の合作区に指定、ベイエリアの地域間協力・国際物流ハブへ

(中国)

広州発

2022年07月05日

中国国務院は6月17日、「広州南沙における広東省・香港・マカオ間の全面的な協力を深化する総方案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。広東省では隣接する香港・マカオとの間にそれぞれ、深セン市前海区の深セン・香港現代サービス業合作区(2022年1月20日記事参照)と珠海市横琴区の広東省・マカオ深度合作区(2022年2月17日記事参照)を建設している。今回、南沙区全域が3つ目の合作区として指定された。

総方案では、広東省、香港、マカオ間の協力を促進に向けた重要なプラットフォームとして、南沙区が広東・香港・マカオグレーターベイエリアの建設の牽引役となることを目指すとしている。盛り込まれた主な取り組みは以下のとおり。

  • 南沙区での国際海運物流のハブ機能の強化に向け、ベイエリア域内の海運サービス資源の地域間統合を推進する。海上貨物輸送、海上輸送と鉄道輸送の連結、船舶ファイナンス、海事サービス、クルーズヨットなどの重点分野で協力を深化させる。南沙港の埠頭(ふとう)の自動化を進め、港と鉄道の連結輸送能力を向上する。
  • 広州南沙総合保税区で、ベイエリアの原材料や消費財、食品などの商品のサプライチェーン管理プラットフォームを構築。エンジニアリングプラスチック、食品、ワイン展示取引センターを建設し、先物受け渡し倉庫を設立する。
  • ハイテク産業の発展、育成を強化する。特に、コネクテッドカー、工業用ロボット、サービスロボット、ドローン、無人ボートなどの研究開発、産業化を推進。南沙区のハイテク関連重点業界企業に対して、赤字繰り越し年限の延長を実施する。先行区(注)の奨励類産業企業に対して企業所得税の上限を15%とする優遇税制を適用し、優遇産業目録を制定する。

南沙区政府の公表データによると、南沙港の2021年のコンテナ取扱量は1,766万TEU(20フィートコンテナ換算)。同港は国際コンテナ定期航路147本、国内コンテナ定期航路24本を有し、貨物輸送量は全国第2位の1兆9,000億トンキロに達した。

(注)中国(広東)自由貿易試験区南沙片区の南沙湾、慶盛中枢、南沙中枢を先行区としている。総面積は約23平方キロメートル。

(梁梓園)

(中国)

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