前海国際人材港・前海深港国際法務区が正式開業

(中国)

広州発

2022年01月20日

中国・深セン市の前海地区の深セン・香港現代サービス業合作区で1月4日、前海国際人材港と前海深港国際法務区が正式に開業した。

前海国際人材港は、人材関連サービスをワンストップで提供し、グローバル人材誘致の中心的役割を担うことを目的に開設された。第1期計画建設面積は4万8,000平方メートル。広東・香港・マカオグレーターベイエリアでグローバル人材が就業・起業する際に、第一歩を踏み出す場所となることを目指す。

同港には、グローバル人材向けの各種公共サービスなどを提供する「人材サービスセンター」や、職業技能鑑定機関、言語能力評価機関などが入居する「人材評価センター」などが設置された。このほか、同港は人材サービス業や国際的コンサルティングファーム、インキュベーション機関、ベンチャーキャピタルなどの誘致を計画。入居企業は中国企業や香港企業、外国企業がそれぞれ3分の1ずつ占めるよう誘致を進めていくとしている(2022年1月4日「深セン晩報」)。

前海深港国際法務区は、法律関連サービスを全面的に享受できるエリアの建設を目指して設置された。司法・知的財産権に関連する公的機関や民間企業などを集約し、国際商事紛争解決センター、国際法律サービスセンターの構築、知財保護を推進する。これまでに深セン国際仲裁院、深セン知識産権法廷などが開設済みだ。

前海国際人材港と前海深港国際法務区が位置する前海深セン・香港現代サービス業合作区は、深センを含む珠江デルタ諸都市と香港の連関性を高める施策の一環として、2012年6月に設置が承認された。深セン経済特区の中でも、特に金融分野を中心に対外開放・規制緩和を先行的に進める「特区中の特区」と位置付けられている。2021年9月には、合作区の面積拡大や、香港との株式や債券、保険の市場相互参入推進策などをまとめた「前海における深セン・香港現代サービス業合作区の改革開放を全面的に深化する方案」が発表されている(2021年9月29日記事参照)。

深センで新規事業開発支援を行い、新興産業や前海地区の動向に詳しいエクサイジングジャパンの川ノ上和文代表取締役は、前海国際人材港と前海深港国際法務区の建設の動きについて「前海地区を金融に加え、人材、司法、知財などの面でも高水準のサービス、リソースを享受できるエリアとして、グローバル企業のヘッドクォーター誘致につなげ、深セン市の中でも唯一無二の地位を築く狙いがあるのではないか」と指摘している。

(小野好樹)

(中国)

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