アルゼンチン、IMFによる拡大信用供与措置の第1回レビューを完了

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年07月04日

IMFは6月24日、アルゼンチンへの拡大信用供与措置(EFF)による支援に関する、第1回のレビューが完了したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これによりアルゼンチン政府は、IMFから約40億ドルの融資金の払い込み(ディスバース)を受けることができる。

IMFは6月8日、第1回のレビューについて、アルゼンチン政府とスタッフレベルで合意したと発表していた(2022年6月10日記事参照)。IMFによれば、2022年第1四半期の定量目標は全て達成している(注)。IMFはまた、経済政策プログラムの実施にアルゼンチン政府がコミットし、エネルギー補助金の削減、政策金利の断続的な引き上げを着実に実施していることを評価しつつ、引き続き継続的な努力が必要としている。アルゼンチンの課題である外貨準備高の積み上げについては、政策金利の引き上げなど金融政策を通じて現地通貨ペソ建て資産への需要を高めることが重要とした。

ここ数日は、アルゼンチンのペソ建て国債の価格が急落し、JPモルガンが算出するカントリーリスク指標(エマージェンシー・マーケット・ボンド・インデックス)が上昇している。投資家がペソ建て国債から米ドルに資金を移す動きや国営企業による国債の大量売却が背景にあるとみられるが、IMFはこの動きについて、ペソ建て債券市場の強化はEFFの重要な柱の1つで、その強化のためには財政目標の着実な実施や国際機関からの財政支援の取り付けなどが必要との見方を示した。

足元では、外貨準備高(グロス)が400億ドルを割り込んでいるが、IMFから融資金の払い込みを受けることで、ひとまずこの水準まで回復する。

(注)IMFは、ウクライナにおける紛争の影響と季節要因を考慮し、両者が合意した年間の定量目標は据え置きつつも、2022年内の残りの四半期の定量目標は見直すことにしている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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