エネルギー安全保障法案を議会へ提出、CfDの第4回オークション結果も発表

(英国)

ロンドン発

2022年07月12日

英国政府は76日、エネルギー安全保障法案を議会へ提出した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同法案は510日に施政方針演説で提示された概要(2022517日記事参照)に基づくもの。

この法案により、水素や洋上風力を含む国内エネルギー供給の多様化や、グリーン雇用の創出、民間部門の投資の動員を図り、英国の新産業の推進を行うとしている。

また、同法案は3月に成立した原子力(資金調達)法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに従っており、原子力プロジェクトに広範な民間投資を呼び込むための新たな資金調達モデルを確立し、資金調達や消費者のコスト負担を削減するとしている。

法案について、エネルギー事業者団体エナジーUKのダラ・ビアス氏は「エネルギーコストが前例のないレベルに達する中、消費者保護のために政府が迅速に立法を行うと同時に、長期的にみた支払額削減のため、英国経済の脱炭素化を支援する枠組みと規制を提供する取り組みは正しい」と評価した。他方、再エネ事業者団体「再生可能エネルギー・クリーンテクノロジー協会」は、二酸化炭素の回収・有効利用・貯留(CCUS)や水素生産への支援を評価する一方、効率性や再生可能エネルギーの導入加速に向けた取り組みなどが抜け落ちており、差し迫ったエネルギー危機に対処するものではないと指摘した(同協会の77日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

再エネ支援スキームCfDの第4回オークション終了

7日には、再生可能エネルギー支援スキームの差額決済契約(Contracts for DifferenceCfD)制度(注)による第4回オークション20211221日記事参照の終了についても発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。202112月に募集を開始し、合計約11ギガワット(GWが約定した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。これは前回のラウンドで約定した容量の約2倍に相当する。発電技術別では、洋上風力プロジェクトへの割り当てが7GWで最も大きく、現在建設済みまたは建設中の洋上風力の発電容量を35%増加させる規模に当たる。また、2017年の第2回オークション以降廃止されていた陸上風力と太陽光については、それぞれ約0.9GWと約2.2GWが約定。「確立途上の技術」の潮流については41メガワット(MW)、浮体式洋上風力は32MWがそれぞれ約定した。

(注)発電事業者の再生可能エネルギーへの投資リスクを減らすため、運転開始から15年間、対象となる電源の固定価格(ストライクプライス)と市場価格の間の変動する差額を政府が補填(ほてん)する制度。事業者はオークションで、技術ごとに自社の固定価格と設備容量を提示し競う。詳細は調査レポート「英国の気候変動対策と産業・企業の対応」21ページ以降参照。

(菅野真)

(英国)

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