中銀、免税店でのクレジットカード分割払いを禁止
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2022年07月11日
アルゼンチン中央銀行は7月7日、中銀通達A7540を公布し、免税店での購入時にクレジットカードの分割払いを禁じた。この措置は7月11日から有効。国内で発行されたクレジットカードでの取引が対象だ。
前日の6日夜、シルビナ・バタキス経済相が報道番組に出演し、不足する外貨を外国旅行での消費ではなく、生産活動に振り向けるべきと発言した。また、中銀は今回の措置に先立ち、4日以降は越境通販の購入代金の分割払いを禁じている(2022年7月4日記事参照)。
最近のアルゼンチンの経常収支をみると、資本取引規制強化による財輸入の減少と国際商品価格の追い風を受け、財貿易の大幅な黒字が経常黒字を支えている(添付資料図1参照)。一方、サービス収支は赤字が続いており、旅行収支の赤字が主因となっている(添付資料図2参照)。つまり、アルゼンチン人が外国旅行で消費する額が、インバウンド観光客がアルゼンチンで消費する額を上回っているということを意味する。サービス収支の赤字幅は、新型コロナウイルスのパンデミックで外国旅行が困難になった2020年から2021年前半にかけて縮小したが、その後は旅行収支の赤字が増加し、サービス収支の赤字幅も増加している。
中銀は2021年11月には、航空券や宿泊代など外国旅行サービスのクレジットカードによる分割払いを禁止しており(2021年12月8日記事参照)、今回の措置と併せて外国旅行に対するディスインセンティブを働かせ、外貨流出を少しでも抑制する狙いがあるとみられる。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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