米大統領経済諮問委、景気後退の可能性を否定

(米国)

米州課

2022年07月25日

米国のカリーン・ジャンピエール大統領報道官と大統領経済諮問委員会(CEA)のジャレド・バーンスタイン委員は719日に記者会見を開き、バイデン政権によるガソリン価格引き下げを含むインフレ対応や、米国経済の展望について説明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

バーンスタインCEA委員は現在のガソリン価格について、「6月上旬からすると原油価格(米WTI原油先物価格)が(1バレル当たり)約20ドル下落し、ガソリンの卸売価格も下落していることから、多くのガソリンスタンドがガソリンの小売価格を下げている」と説明した。また、「予期せぬ市場の混乱がなければ、今後数週間でガソリンの小売平均価格が1ガロン(約3.8リットル)当たり4ドルを下回るところが増える」との観測を示した。

また、ガソリン価格の押し下げ要因の1つについて、「プーチン(ロシア大統領)によるウクライナ侵攻の影響に対処するために、バイデン大統領がとった歴史的な行動によるもの」として、米国が20223月に国際エネルギー機関(IEA)加盟国と協調して6,000万バレルを放出したほか、米国の石油戦略備蓄(SPR)から18,000万バレルを追加放出した成果を強調した(2022年4月1日記事参照)。

なお、全米自動車協会(AAA)によると、全米平均のガソリン小売価格(レギュラー)は721日現在、1ガロン当たり4.44ドルと、6月に5ドル超を記録したのをピークに下落している。ガソリン価格の押し下げ要因として、米メディアでは、価格高騰の反動による需要減退、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めの影響および景気後退(リセッション)の懸念、さらには投資家によるコモディティー離れの動きに引きずられていると指摘されている(ブルームバーグ621日)。

バーンスタインCEA委員は「政権は景気後退を予期しているのか」との記者からの質問に対し、「現在の経済の強さ、労働市場の強さ、個人消費の強さをみれば、現在の状況は依然として堅固に拡大傾向にあると結論づけられる」「景気後退と呼ぶには無理があると自信を持っていえる」と明言した。

また、バーンスタインCEA委員は「家庭が息抜きできるようにするという大統領の目標を達成するためには、まだまだやるべきことがある」として、バイデン政権が今後、議会で(1)処方薬の価格引き下げ、(2)医療保険制度の拡充、(3)半導体製造支援の法的枠組み(CHIPS for America Act)を重点に取り組む、と説明した。短期的には処方薬の価格引き下げや医療保険制度の拡充により消費者の経済的負担を軽減することに加え、中長期的にはインフレ圧力の影響を受けやすい自動車部品および自動車向け半導体の国内生産体制の強化を図るとした。

(葛西泰介)

(米国)

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