2022年上半期の中ロ貿易、輸出は3月以降4カ月連続で前年同月比減
(中国、ロシア)
中国北アジア課
2022年07月29日
ジェトロがグローバル・トレード・アトラスを基に中国の対ロシア貿易(ドルベース)をまとめたところ、2022年上半期の中国の対ロシア輸出は、前年同期比2.1%増の295億7,134万ドルとなった。
一方、6月単月の輸出額は、前年同月比17.0%減の50億253万ドルとなった。
中国では、上海市における新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、3月末から5月にかけて封鎖管理を実施。国内の生産活動や物流が停滞し、貿易にも影響を及ぼした。ロシアとの間の貿易にも一定程度影響した可能性がある。しかし、対世界輸出は4月の3.7%増を底に5月(16.8%増)、6月(17.7%増)と徐々に回復傾向を示したのに対し、対ロシア輸出は3月以降4カ月連続で減少が続いている(添付資料図参照)。
HSコード4桁ベースで上位10品目(上半期の輸出金額順)の6月の輸出額をみると、7品目で減少した(添付資料表1参照)。特に、消費財が並ぶ上位3品目で減少幅が大きく、1位の電話機(8517)は50.8%減の1億7,667万ドル、2位の自動データ処理機械(8471)は73.5%減の6,382万ドル、3位の自動車(8703)は77.6%減の3,081万ドルとなった。
なお、多くの中国企業がロシアとの取引方針の変更などは明らかにしていない中で、中国のドローン最大手の大彊創新科技(DJI)は4月27日、ロシアとウクライナで全ての事業を一時的に停止すると発表した(2022年4月28日記事参照)。その後の2022年5~6月における中国からロシアへの無人飛行機(8806)(注)の輸出額をみると、同年3~4月比で26.8%減の116万ドルだった。うち、遠隔制御飛行専用で7キログラム超、150キログラム以下の品目(880624、880623)では、5月以降の輸出額は(グローバル・トレードアトラスの統計上)ゼロになっている。
対ロ輸入、数量ベースでは主要品目で減少も
2022年上半期の中国の対ロシア輸入は、前年同期比50.0%増の505億6,412万ドルとなった。
HSコード4桁ベースで上位10品目(上半期の輸入金額順)をみると、構成比54.7%を占め1位の原油(2709)は58.2%増の276億5,495万ドルとなった。また、同品目を含む上位8品目で増加した(添付資料表2参照)。
ただし、数量ベースでは、原油(3.9%増の4,131万トン)は微増にとどまり、2位の石炭(2701)、3位の石油ガスその他のガス状炭化水素(天然ガスなど)(2711)を含む7品目で減少した。国際的な資源価格の上昇が輸入額を押し上げたとみられる。
国家統計局の胡漢舟エネルギー統計司長は、7月15日付の「中国経済網」において「足元における国際的なエネルギー価格の高騰を受けてエネルギー輸入コストが増加しており、わが国のエネルギー関連品目の輸入需要が低下している」と指摘している。
なお、6月単月の輸入額は、前年同月比56.3%増の97億4,826万ドルだった。
(注)2022年版のHSコード(HS2022)から新設された品目分類。装備品などの機能によらず、無人航空機(8806)に分類される。HS2017では主たる機能に基づきデジタルカメラ(8525) やヘリコプター(8802)などに分類されていたとみられる。
(小林伶)
(中国、ロシア)
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