テレワークに関する労働安全規格の草案を官報公示

(メキシコ)

メキシコ発

2022年07月26日

メキシコ労働社会保障省(STPS)は7月15日、テレワークに関する労働安全規格であるメキシコ公式規格の草案(PROY-NOM-037-STPS-2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を官報公示した。「新型コロナ禍」で採用が拡大したテレワークに関しては、2021年1月11日に連邦労働法(LFT)が改正され、テレワークの定義や条件、雇用主の義務などを法制化した(2021年1月13日記事参照)。改正後のLFT第330-J条および2021年1月11日付LFT改正令の付則第2条は、STPSが、人間工学的要素、メンタルヘルス、その他のテレワークに伴うリスクを考慮した上で、本改正の施行後18カ月以内にテレワークに関する安全衛生基準をメキシコ公式規格(NOM)として作成することを定めており、今回公示されたのはその草案となる。草案の公示から60日間は、草案に対する変更案の公募が行われ、同見解を考慮した上で最終的なNOMが策定され、官報で公布される。NOMは公布から180日後に発効する。変更案は、ワードファイルで3列の表のかたちで作成する必要があり、第1列は変更対象となる条項(番号)、第2列は変更内容、第3列は変更が必要な理由を記載する。

今回のNOMの主な規定内容は、以下のとおり。

  1. テレワーク導入に際する雇用主の義務(5.1~5.13)
  2. テレワークで働く労働者の義務(6.1~6.9)
  3. 働く場所の安全や健康のための条件(7.1~7.3)
  4. 研修・訓練(8.1)
  5. 履行検証機関と検証方法、監視機関(9.1~9.4、10.1~10.4、11)

1.に関して重要なのは、テレワークでは働く労働者のリストを整備すること、「テレワーク導入策(Política de Teletrabajo)」を策定すること、労働者が働く場所を実際に訪問するか、質問票を用意して労働者に回答してもらうことにより、「職場環境検証リスト」を作成すること、労働者がテレワークに用いる情報通信技術(ICT)機器のメンテナンス計画・方法などを文書化すること、職場における事故(疲労、メンタル障害など)の報告体制を整備し適切に対処すること、などだ。「テレワーク導入策」に盛り込む内容はNOMの「参照ガイド4」として記載されているほか、「職場環境検証リスト」作成に向けた労働者への質問票のひな型が「参照ガイド1」として記載されている。

当局が事業所査察で規格順守を監視

5.については、NOMの履行について第三者機関の検証を受ける義務はない。雇用主の選択肢として検証機関に検証を依頼することは可能(9.1)だが、基本的にはSTPSが事業所査察を行う際に、同NOMを順守しているかどうかを検証する。査察の際に検証される内容や方法については、NOMの10.3に詳細に規定されている。査察の結果、NOMを順守していないと判断された場合、罰則が科される可能性がある。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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