物品・サービス税(GST)の税率を一部改定

(インド)

ニューデリー発

2022年07月26日

インド財務省は718日、物品・サービス税(GST)に関する税率を一部改定した。今回の改定に先立ち、財務相が議長を務めるGST評議会の第47回会合が6月28~29日に開催され、同評議会は新たな税率案を勧告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。

今回の税率改定で最も注目を浴びたのは、これまで課税が免除されていた、ノンブランドの穀物など一部の食品が新たに課税対象(5%)となった点だ。当初の勧告案においては、課税対象が不明瞭だったことから業界内の混乱を招いたが(「ビジネス・スタンダード」紙716日)、インド政府は717日、課税対象を明確化するF&QPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を追加で公表。今回新たに課税対象となるのは、豆類、コメ、小麦などが25キログラム以下の単位で販売された場合に限るとした。

また、今回の改定により、これまでGSTによる課税がなされてこなかった医療サービス分野においても、15,000ルピー(約8,500円、1ルピー=約1.7円)を超える病院の個室料(集中治療室を除く)が新たに課税対象(5%)となった。これを受けて一部現地メディアは、今回の改正が患者の医療費負担の増加につながるだけではなく、従来GSTへの対応が不要だった病院側の運営においても、混乱が生じる恐れがある点を指摘している(「エコノミック・タイムズ」紙716日)。

GSTの税制は、従来、州ごとに異なっていた複数の間接税を統一し、税体系の透明性向上と簡素化を図るため、ナレンドラ・モディ現政権下で201771日に導入された(2017年6月7日記事参照)。物品やサービスごとにそれぞれ異なる税率が定められており、不定期で開催されるGST評議会の勧告を経て頻繁に見直しも行われている。GSTの導入から5年がたち、産業界からはインドにおけるビジネス環境が大幅に改善したとして高い評価を受けている。一方で、度重なる税率改定に加え、各州が権限を持つ監査基準に統一性がなく、GST法で定められたGST税務高等裁判所がいまだに設置されていないなどの課題も指摘されている。

(高際晃平)

(インド)

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