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7月導入に向け、GST税率が決定

(インド)

ニューデリー発

2017年06月07日

7月導入予定の物品・サービス税(GST)について、製品やサービスにかかる大方の税率が発表された。税率は5%、12%、18%、28%の4段階となる。日系進出企業にとっては、GSTのコンプライアンスに見合った取引先の選定やサプライチェーンの再構築などの対応が求められることもありそうだ。

家電やハイブリッド車は増税に

インドの間接税には複数の国税と州税が併存し、税の種類によっては相殺不可能なものがあるなど、複雑な体系になっている。現在、導入準備が進められているGSTは、物品税、付加価値税、サービス税、オクトロイ(特定州で課される物品入市税)など複数の間接税を統一することで、税体系の透明性向上と簡素化を図る狙いがある。モディ政権で導入の動きが加速、2016年8月には導入のための憲法改正案が可決され、政府は7月導入を目指している。

GSTでは、物品税などの国税をCGST(Central GST)に、付加価値税(VAT)などの州税をSGST(State GST)にそれぞれ統合し、これらに複数の州を経由する取引に課されるIGST(Integrated GST)を加えた3つの体系となった。導入に当たってのスケジュールやルールは、中央政府と州政府の財務相で構成されるGST評議会が検討し、決定する。税率は5%、12%、18%、28%の4段階にするとされており、5月18~19日に開催されたGST評議会で、物品やサービスごとの税率外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが決定された。

それによると、代表的な商品やサービスの税率は表のとおりで野菜や果物、牛乳などの基礎的食品はこれまでと変わらず課税対象外とされている。

表 主な物品にかかるGST税率例
免税 牛乳、穀物(包装されていなブランド外品)、野菜など
5% 食用油、紅茶、コーヒー、砂糖など
12% 冷凍肉、バター、電気自動車など
18% せっけん、歯磨き粉、ヘアオイル、資本財、工業中間材など
28% 自動車、テレビ、エアコン、冷蔵庫、炭酸飲料など

(出所)各種報道など

テレビや冷蔵庫、デジタルカメラなどの家電製品には現状より高い28%が適用されることになり、18%の適用を求めてきた業界には厳しい結果となった。パナソニック・インディアのマニシュ・シャルマ社長は「顧客にとっては4~5%の値上げとなり、7、8月の販売に影響を与えるだろう。贈答や更新需要が高まる祭事シーズン(10、11月)に需要が戻ることを期待したい」(「エコノミック・タイムズ」紙5月20日)と語った。

自動車(トラクターなど一部を除く、二輪車を含む)の税率は28%となった一方、電気自動車(EV)は12%と、EV導入を進めたい政府の意向が反映されたかたちだ。しかし、ハイブリッド車については28%の税に加え、セグメントに応じて課せられる一種の奢侈(しゃし)税として15%が適用され、環境対策車により扱いが異なる。これについてトヨタ・キルロスカ・モーターのシェーカル・ビシュワナタン副会長は「政府はEVを推進しているが、ハイブリッド車も環境配慮に重要だ。ハイブリッド車への高課税は後ろ向きだ」(同)と批判している。

サービス税の多くは18%が適用

現在15%の税率が課せられるサービス税については、銀行、保険、通信、ITなど多くの分野で18%が適用されることになった。ただし、5つ星ホテルでのサービス、映画チケット、カジノなどには28%が課税される見込みだ。教育とヘルスケア関連サービスへの課税は引き続き免除された。

財務省のハスムク・アディア歳入局長は「GST導入後、インフレは2%に落ち着くと見込んでいる」とし、「GST評議会で決定すべき事項は残りわずかになっており、今後は税当局と産業界のGST導入への理解と訓練が課題だ」としている(「タイムズ・オブ・インディア」紙5月20日)。

サプライチェーンの効率化が進むと予測

GST導入に伴う日系企業への影響は、これまで税の相殺ができずコスト増になってきた中央販売税(CST、州を越える取引の際に発生する間接税)の撤廃が大きい、と税務専門家は指摘する。CSTの支払いを避けるため、多くの企業が各州に倉庫を設け、在庫の移動で対応してきたが、今後は在庫の倉庫間移動にもGSTが課されることから、倉庫集約などにより効率的なサプライチェーンの構築が進むのではないかと予測している。また、販売側と購入側の申告内容が一致しなければ税控除が受けられなくなるため、自社の会計・税務のシステム対応の遅れや誤申告が顧客の不利益に直結し、逆に、顧客の対策や対応の正確性が自社の利益に直結することになる。

「日系企業は、コンプライアンスを含めたシステムの構築と処理の正確性を期することが重要。また、これらができているかが取引先選定のポイントの1つとなる。相殺手続きの扱いによっては、短期キャッシュフローに影響が及ぶことがあるので、必要なシステム投資や研修実施、これらへの日本本社の理解と支援が求められる」と専門家はアドバイスする。

(古屋礼子)

(インド)

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