非コールドチェーン輸入貨物に対する防疫措置を調整、PCR検査は撤廃

(中国)

中国北アジア課

2022年07月15日

中国国務院の新型コロナウイルス防疫メカニズム総合チームは712日、「輸入貨物の新型コロナウイルス防疫措置のさらなる最適化に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した(通知は78日付)。産業チェーンの保障およびサプライチェーンの安定化に向け、輸入貨物に対する防疫措置について具体的な方針が示された。

中国では、防疫強化のため、「コールドチェーンを必要としない輸入貨物」に対してPCR検査や一定期間の保管を義務付けるケースが複数の地域でみられていた(2022年4月11日記事2022年4月14日記事参照)。

本通知では、輸送温度が10度以上の貨物を「コールドチェーンを必要としない輸入貨物」(以下「非コールドチェーン貨物」)(注1)として、当該貨物にはPCR検査を実施しない旨を明記。感染予防のための消毒(以下、予防消毒)は、貨物の感染リスクが高いと判断される場合に実施するとした。また、各地方の防疫メカニズムに対しては「非コールドチェーン貨物」の保管に関する規定の早急な見直しを求め、追加的措置を実施することを禁じた。

このほか、本通知で示された主な内容は以下のとおり。

1)「非コールドチェーン貨物」に対するリスクに応じた区分の実施:感染リスクに応じ「高リスク」または「低リスク」の区分を行う。

以下(ア)~(オ)の条件に1つでも該当する場合は、「低リスク」貨物と判断。1つも該当しない場合は、「高リスク」貨物と判断する。

(ア)新型コロナウイルスの感染リスクが低い国・地域からの貨物

(イ)大口のばら積み貨物(石炭、鉱石、化学原料、穀物、資料、牧草、木材など)

(ウ)積載した航空機、船舶、列車、自動車が輸出港を出発してから24時間が経過した貨物

(エ)積み下ろし作業時に作業員が接触することがない貨物

(オ)予防消毒が既に施された貨物

2)「高リスク」の「非コールドチェーン貨物」に対する措置:PCR検査は実施しない。「高リスクのコールドチェーンを必要としない輸入コンテナ貨物の輸入検査と予防消毒措置方案に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(20201231日付公布)による規定に基づき、予防消毒を行う。

うち、予防消毒の実施に適さない貨物(注2)には、予防消毒は行わない。各地方の防疫メカニズムが適当な方法で処理する。

3)「低リスク」の「非コールドチェーン貨物」に対する措置:PCR検査および予防消毒は実施しない。

(注1)なお、同通知では、「新型コロナウイルスは常温では1日以内に完全に不活化する」とする最新の研究結果に言及している。

(注2)危険化学品、生きた動物、飼料および飼料添加物、果物、野菜、精密機器などの包装されていない貨物または包材に消毒液が染み込みやすく貨物に影響を与えうる場合。

(小林伶)

(中国)

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