台湾、米国との新たな貿易イニシアチブを通じた経済関連の協定締結に期待

(台湾、米国)

中国北アジア課

2022年06月02日

台湾の行政院は6月1日、米国との間で「21世紀の貿易に関する台湾・米国イニシアチブ」(以下、台米イニシアチブ)を立ち上げ、プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。米国通商代表部(USTR)も同日、台米イニシアチブの立ち上げを発表している(2022年6月1日記事参照)。台米イニシアチブでは、(1)貿易円滑化、(2)法規制定の原則(3)農業、(4)反腐敗、(5)中小企業支援、(6)デジタル貿易、(7)労働者中心の貿易促進、(8)環境と気候問題対策の支援、(9)標準、(10)国有企業、(11)非市場的政策・慣行、の11分野について、交渉を実施するとしている。

記者会見には、行政院の羅秉成報道官のほか、TPP問題担当閣僚の鄧振中政務委員、呉釗燮外交部長、王美花経済部長が参加した。鄧振中政務委員は台米イニシアチブについて、「台湾は長年米国との貿易協議を希望してきたが、ついに正式な協議の立ち上げが叶った。米台の経済関係上歴史的なブレイクスルーである。将来的には、双方の同意の下、様々な経済関連の協定を締結していきたい」とし、その意義を高く評価した。また、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」との関係については、「台米イニシアチブの議論の範囲にはIPEFの4大項目(貿易、サプライチェーン、脱炭素、反汚職)が全て含まれているが、IPEFと台米イニシアチブは相互に補完し発展していく関係にあり、引き続きIPEFへの参加も求めていく」とした。

呉釗燮外交部長は、「台米イニシアチブがインド太平洋地域における協力のモデルとなり、台湾のCPTPPやIPEFといった域内の経済貿易メカニズム加入への後押しとなることを希望する」とし、期待を示した。

中華経済研究院WTO・RTA中心の李淳副執行長は、「台湾はIPEFの発足メンバーに入ることはできなかったが、少なくとも台米イニシアチブを通じてIPEFにおける議論の範囲や米国の期待などを把握することができ、将来的な台湾のIPEF参加に向け十分な準備を行うことができる。また、米国にとっての台湾の重要性は以前よりも格段に高まっており、台米イニシアチブは、台湾がIPEFに参加できるか否かよりも、はるかに重要だ」との認識を示した(「中央社」6月1日)。

(江田真由美)

(台湾、米国)

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