蔡総統、米国との新たな貿易イニシアチブ第1回協議を重要なブレークスルーと評価

(台湾、米国)

中国北アジア課

2022年06月30日

台湾の行政院は6月28日、米国との間で「21世紀の貿易に関する台湾・米国イニシアチブ」(以下、台米イニシアチブ)の第1回会合をワシントンで行ったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。台湾側は鄧振中行政院政務委員がオンライン参加したほか、蕭美琴駐米代表も現地参加し、米国側はサラ・ビアンキ通商代表部(USTR)次席代表が代表を務めた。米国USTRも27日、第1回会合について発表している(2022年6月28日記事参照)。

台米双方は、6月1日にイニシアチブの立ち上げを発表し、(1)貿易円滑化、(2)法規制定の原則、(3)農業、(4)反腐敗、(5)中小企業支援、(6)デジタル貿易、(7)労働者中心の貿易促進、(8)環境と気候問題対策の支援、(9)標準、(10)国有企業、(11)非市場的政策・慣行、の11分野について、交渉を実施するとしていた(2022年6月2日記事参照)。

行政院は第1回会合の詳細内容を明らかにしていないが、台米間の経済貿易枠組みについて双方の意見を交換したほか、台湾は米国との経済関連の協定締結により関係を強化したい意向をあらためて表明したという。

これに関連して、台湾与党の民主進歩党は6月29日に行われた定例会合において、中華経済研究院WTO・RTA中心の顔彗欣副研究員兼副執行長を招き、「21世紀の貿易に関する台湾・米国イニシアチブが台湾の経済貿易政策の転換に与える意義」について検討を行った。顔彗欣副研究員兼副執行長は「台米イニシアチブの前提として、米国は台湾を重要な経済安全保障上のパートナーと認定しているといえる。台湾は議論の過程で、目の前にある経済貿易関連の議題以外にも、将来のルールメーキングに関して発言権を獲得することができる。また、台米イニシアチブを通じて、台湾は米国の先進産業のサプライチェーンに参入することができ、インド太平洋経済枠組み(IPEF)にはまだ加入していないもの、実質的には参加しているのと同様の効果をもたらす」と指摘した。

蔡英文総統は民主進歩党の定例会合後、「台米イニシアチブのスムーズなスタートは、台米経済貿易関係にとって重要なブレークスルーであるだけでなく、今後の議論に向けて具体的に関係を深めることにつながり、双方で高いレベルの経済関連協定が締結されることを期待している」と述べた。

(江田真由美)

(台湾、米国)

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