米環境保護庁、2020~2022年の再生可能燃料混合基準を決定

(米国)

ニューヨーク発

2022年06月07日

米国環境保護庁(EPA)は6月3日、再生可能燃料混合基準制度(RFS)について、2022年の混合基準量および2020~2021年の混合基準量の遡及(そきゅう)改定を決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

2006年に大気浄化法に基づいて導入されたRFSは、製油業者に対し、ガソリンまたはディーゼル燃料にエタノールなどバイオ燃料の一定量の混合を義務付けており、製油業者は、自身に割り当てられた混合量を達成するか、達成できない場合などは再生可能識別番号(RIN)と呼ばれる市場で取引可能なクレジットの購入を求められる。例年は前年末に翌年の混合義務量がEPAによって設定されるが、今回は新型コロナ禍でエネルギー需要が大きく減少した影響を受けて、設定作業が遅れていた。

今回設定されたバイオ燃料の混合総量は2020年171億3,000万ガロン、2021年188億4,000万ガロン、2022年206億3,000万ガロン(1ガロン=約3.8リットル)に決定された。2021年12月にEPAが提案した総量案からは、2020年は変更なく、2021年(185億2,000万ガロン)は3億2,000万ガロン増加しているが、2022年(207億7,000万ガロン)は1億4,000万ガロン減少している。2020年について、2019年12月に当初設定された総量(200億9,000万ガロン)から大幅に減少されたことも踏まえると、混合総量が厳しすぎると訴えていた石油精製業界に一定の配慮をみせたかたちだ。一方で、同様に求められていた小規模精製業者に対するRFSからの適用除外については、これを却下し、従前どおり小規模事業者がRFSによって大きな経済的損害を受けることを証明できる場合に要件免除を受けることができるとするにとどめた。

米国では、バイオ燃料の混合義務によって石油精製コストが増加し、ガソリン価格が上昇すると主張する石油精製業界と、バイオ燃料の混合とガソリン価格に相関関係はなく、むしろ低コストのバイオ燃料がガソリン価格を低下させ得ると主張するバイオ燃料業界が、長年それぞれの意見を戦わせており、ガソリンの小売価格が連日のように過去最高値をつける中、両者がロビー活動など精力的に行っている。最近では、トウモロコシ由来エタノールの二酸化炭素(CO2)排出量は通常のガソリンよりも高いとする研究が発表されるなど(2022年2月18日記事参照)、温暖化対策としてのRFSの有効性の議論も交わされている。2022年中には、2023年のRFSにおけるバイオ燃料混合総量が発表される見込みで、その動向が引き続き注目される。

(宮野慶太)

(米国)

ビジネス短信 ed0af352202b939f