次期EU議長国チェコ、ウクライナ復興支援などを優先課題に

(チェコ、EU、ウクライナ)

プラハ発

2022年06月21日

チェコは7月1日から、2022年下半期(7~12月)のEU理事会(閣僚理事会)の議長国に就任する。2022年上半期の議長国フランスから引き継ぎ、EU理事会の各種会合の運営や議事進行などに当たる。これに先立ち、チェコ政府は6月15日、以下5点の優先事項を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

  1. ウクライナからの避難民への対応と同国の復興支援
  2. エネルギー安全保障
  3. 欧州の防衛能力とサイバーセキュリティの強化
  4. 欧州経済の戦略的レジリエンス
  5. 民主主義体制のレジリエンス

ペトル・フィアラ首相は同日の記者会見で、特にウクライナ情勢の影響について強調し、「ロシアのウクライナ侵攻により、欧州の安全保障体制の弱点が露呈したが、われわれはその再建に、他国に依存する傍観者としてではなく、(自ら)取り組み、発展させていく必要がある」と述べた。また「ウクライナの復興と、EUへの道のりにおける支援に向けて、最大限の努力をしなければならない」と述べ、ウクライナのEU加盟を全面的に支持する姿勢を示した。ウクライナの復興に当たっては、議長国特設ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上で、同国の基幹インフラなどの再建について、資金面も含めた支援が重要、と主張している。

欧州経済に関しては、同サイト内で、EUは完全な自給自足をただちに目指すのではなく、EU域内での生産能力に基づいた技術的な競争力の強化とともに、民主主義国との自由貿易拡大により戦略的レジリエンスを高める必要性を掲げている。特に、EU米国貿易技術評議会(TCC)の枠組みにおいて、サプライチェーンのレジリエンス強化措置を含む大西洋横断協力の深化を積極的に進める意向だ。

一方、エネルギー安全保障については、「欧州グリーン・ディール」を推進する政策パッケージ「Fit for 55」(2021年7月15日記事参照)に沿って、温室効果ガス削減目標の達成に向けて、特に天然ガスから水素エネルギーへの転換が重要で、そのためには水素インフラなどの開発が必要、と指摘している。その足掛かりとしての短期目標である、ロシア産化石燃料依存からの脱却に向けて最大限の努力をすることを、議長国としての最優先事項に定めている。

また、フィアラ首相は、どの事項においても議長国として合意の形成と欧州の団結を目指す、と述べている。

(中川圭子)

(チェコ、EU、ウクライナ)

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